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カフェ・ヨーロッパ の商品レビュー

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2020/08/30

旧ユーゴスラヴィアで生まれ育った著者が、共産圏崩壊後の90年代の東欧の国々を訪れて感じたことを綴る1冊。 一個人である著者の感じ方・考え方ではもちろんあるのだけれど、共産圏(なかでも少し特殊な旧ユーゴ)で生きてきたということはどういうことなのか、というのが生々しく伝わってきます。...

旧ユーゴスラヴィアで生まれ育った著者が、共産圏崩壊後の90年代の東欧の国々を訪れて感じたことを綴る1冊。 一個人である著者の感じ方・考え方ではもちろんあるのだけれど、共産圏(なかでも少し特殊な旧ユーゴ)で生きてきたということはどういうことなのか、というのが生々しく伝わってきます。 過去は体制が変われば容易に書き換えられていくこと、「ヨーロッパ」といって思い描かれるものは人によってさまざまだし結局はそんな理想的で統合的な「ヨーロッパ」なんて存在しないのだということ、などが感じられます。 個人的に面白かったのは、著者がルーツをもつイストリアの人たちのナショナリティ・アイデンティティの話(「三つの国境に暮らす人々」の章)。国境付近に住み、混ざり合ってきた人々と、彼らにナショナリティの選択を迫る現代国家との考え方・認識の大きな齟齬が記録されています。本書の刊行から四半世紀経った今はどうなっているのか気になりました。

Posted byブクログ