松平三代の女 の商品レビュー

松平すゞ(著者),桑原恭子

幕府がなくなり、困窮…

[文庫ＯＦＦ]

幕府がなくなり、困窮から父親に売られた三人の娘の実話。恋愛結婚して子どももいたのに騙されて売春宿へ売られた娘など、あまりに残酷です。新しい妻を得て納得した夫も夫ですが……。

2010/06/29

幕末から明治維新の混乱は誰もが知るところであるが、
当事者の松平すずさんの語りはなんとも生々しい。
尾張藩五千石の直参のお姫様で、世が世なら大勢に傅かれる身が、遊女に売られたり、またシンガポールまで流れて行った一人は、外国航路の船員になった弟とそこで再会し救い出される。
ご当主は乞食にまで落ちぶれる。
事実は小説より奇なりと言われるが、まさにこれ以上の「奇」があろうか？
書き手の松平すずさんは、昭和の半ばころ亡くなられた。

ふとしたことから松平すずさんの遺稿が発見され、名古屋在住の作家桑原恭子さんの構成でまとめられた。