黒沢明 音と映像 の商品レビュー
黒澤明がその映画制作において音楽をどのように位置づけてきたのかということを、鈴木静一と服部正、早坂文雄、佐藤勝、武満徹、池辺晋一郎といった作曲家たちとのかかわりを追いかけることで明らかにしている本です。 著者は早稲田大学の学生時代に黒澤本人やその周辺の人物たちへのインタヴューを...
黒澤明がその映画制作において音楽をどのように位置づけてきたのかということを、鈴木静一と服部正、早坂文雄、佐藤勝、武満徹、池辺晋一郎といった作曲家たちとのかかわりを追いかけることで明らかにしている本です。 著者は早稲田大学の学生時代に黒澤本人やその周辺の人物たちへのインタヴューをおこない、黒澤をテーマにした卒業論文を執筆しました。本書はその論文をもとに、その後の黒澤映画の展開にかんする補足をおこなったものです。 著者は、黒澤映画を支えた作曲家たちの率直な意見を紹介し、黒澤の手法に対する厳しい批判があったことにも目を向けています。さらに晩年の黒澤映画については、批判的な意見を表明していますが、それにもかかわらず、著者の黒澤に対する敬愛が文章から伝わってきます。 興味深い視点から黒澤映画の本質にせまる試みといってよいと思います。ただ注意しないといけないのは、著者自身の黒澤そのひとに対する感想が随所に盛り込まれており、論文というよりはエッセイに近いスタイルで書かれていることで、作品そのものへの批評が見えにくくなってしまっているようにも感じられます。
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『椿三十郎』の面白さに心打たれ、これにまつわる文献を探していて出会った。読みやすく人を惹きつける文と、よく分析された批評は大変興味をそそる。音に重点をおかずに観ていたので、黒澤映画の音に関してのこの本を読んでから慌てて映画を見直した。 『椿三十郎』の部分のみ読んだ。
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