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富永仲基と懐徳堂 の商品レビュー

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2020/06/19

近世日本において抜きんでた合理的思想家として高く評価され、「時代を越えた天才」といわれつづけてきた富永仲基を、懐徳堂知識人を中心とする反徂徠学の潮流のなかに置きもどすとともに、その合理主義的な思想の内実を解明している本です。 「あとがき」によると、著者は、神戸大学の野口武彦のも...

近世日本において抜きんでた合理的思想家として高く評価され、「時代を越えた天才」といわれつづけてきた富永仲基を、懐徳堂知識人を中心とする反徂徠学の潮流のなかに置きもどすとともに、その合理主義的な思想の内実を解明している本です。 「あとがき」によると、著者は、神戸大学の野口武彦のもとで日本思想史を学び、ブランクを経た後に日本思想史研究にフランス現代思想の議論を導入した子安宣邦のもとで研究を再開したとのことです。仲基を「天才」と規定する日本思想史研究の言説に対する批判を述べた「序」は、やや現代思想系の文章に特有の言い回しが若干見られますが、本論は明晰で読みやすいように感じました。 著者は、伊藤仁斎や荻生徂徠の文献研究のありように対する仲基や中井履軒をはじめとする懐徳堂知識人たちの批判を検討し、その言説に対するまなざしを主題的に考察しています。ただし、その合理主義的な性格を高く評価しており、現代思想的な論述スタイルにアレルギーのある読者にも抵抗なく読むことのできる内容です。

Posted byブクログ