恐怖の一夜 の商品レビュー
1993年から2002年に青春BEST文庫から、怪奇ゾーン特報班名義で発表された13の怪談集の8作目。1998年作品。 今作でも前作同様、怪奇体験談集、というより怪奇掌編小説集という雰囲気ですが、前作より正統派な怪談集という印象です。 目次は次のページのクレジットには、前作と...
1993年から2002年に青春BEST文庫から、怪奇ゾーン特報班名義で発表された13の怪談集の8作目。1998年作品。 今作でも前作同様、怪奇体験談集、というより怪奇掌編小説集という雰囲気ですが、前作より正統派な怪談集という印象です。 目次は次のページのクレジットには、前作と同じく「協力 ガーデン」とあります。 前作は、怪談として割りと変化球が多いという印象ですが、今作では団地の怪談から始まり、続いてドライブでの怪談、と、これぞ怪談、というものを集めている感じです。 全体的に質が高い怪談集だとは思いますが、どれも平均的でもありますので印象に残らないものも多いです。 その中でも、特に印象的な作品は3編ありました。 癇の虫に苦しむ母と幼い息子を描いたその名も「癇の虫」。オチも含めて、ショートショートとしても素晴らしい作品ではないでしょうか。 昭和のホラー映画『震える舌』のような雰囲気もあります。 ホラー映画的といえば、「船内での出来事」も、ホラー映画的で素晴らしいです。沖で泳いでいた謎の女を乗せたヨットでの出来事を描いていて、これは元ネタはアメリカの70年代ホラー映画『魔のバミューダ海域』でしょうか。これもオチがしっかりしていてショートショートとしても素晴らしい作品。 ショートショートとして素晴らしい作品がもう1つ「最後の一杯」。 人生に転落した男が、場末のスナックで懐かしい雰囲気の女に出会う、というお話ですが、舞台設定もオチの素晴らしさも阿刀田高先生のショートショートを彷彿とさせてくれます。
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