アジアのごはんがおいしい理由 の商品レビュー

平松洋子(著者)

2014/05/05

アジアの調理器具を紹介した本。国は違えど近所どうしは似たような道具を使うものなんだと、当然のことに気づかされる面白さ。とはいえ、実際に日本の台所ではそう頻繁に使うわけにもいかない道具を取り上げた本なんて、あまり売れなさそう。だから、ちょっとずるいタイトルになっているのかな。
料理だけでなく、それを作る道具に目を向ける平松さんの目のつけどころはさすがだなと思うし、書く力があるからちゃんと読んで面白い本になっている。民俗文化を知るような本でもあると思う。料理研究家という人たちの文章は、料理が真ん中に来るけど、平松さんの文章は、生き方とかもっと骨太なもの、それでいてしなやかな生き方を料理で表しているような気がするな。
個人的には、スッカラやトッペギを「韓国」のものと紹介せず、「朝鮮半島」のものとしているところで、また一つ、平松さんへの信頼感が増した。そう、料理や生活様式に後づけの国境なんてないんだ。