セルフヘルプ・グループ活動の実際 の商品レビュー

石川到覚(編者),久保紘章(編者)

2014/05/29

セルフヘルプ・グループとは自助グループのことだが、その内実は同じ課題を抱えた者同士が集まって談話しているだけのいわばサークルと同じである。それを「セルフヘルプ・グループ」というカタカナで抽象化することによって何らかの“活動”としてみせかけているが、実際には大それた活動などなく、ごくありふれたサークルと同じである。そこに「活動」という言葉を用いて記すのであれば客観的な記述をしなければならないはずである。しかし、そういった客観的記述はなく、単にグループの参加する具体的な個人にすぎない者が「当事者」という抽象化された個人——いわば代表——であるかのように語りだしたり、「活動」という客観的なものを個人の主観的な観点から語っているだけで、そこには何もつかみ所のある実態がない。そこにあるのは、ただ単に執筆者らの解釈であったり、他者に対する一方的な自己投影が語られているだけで活動という客観的に記述にいたっていない。