韓国は一個の哲学である の商品レビュー
韓国に関する戦後最高の名著
韓国に関する本の中で、少なくとも日本では戦後最高の名著であると言える。
タカ
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
映画「パラサイト」を観て韓国のことに興味を持ったが、本書は同映画よりもずっと前に書かれたにもかかわらず、まさに同映画の図解入りの解説・ネタ本かと思うような内容で驚いた。 韓国人の精神性について、納得のいく説明をし切っているのがすごい。 韓国では、〈理〉(真理、道徳性)と〈気〉(情緒的なもの、物質的なもの)という分類があり、〈理〉が特に重要とされており、人間関係も〈理〉に優れている順にニム(主)←ナ(我)←ノム(奴)という階層に分けられる。そしてそれぞれがより上の階層への上昇志向をもっている。ここで面白いのが、誰でも100%の〈理〉を本来的には有しており、それが〈気〉によって濁っているだけだと考えられているため、たとえ現時点で身分が低い者であっても、上昇できるという楽天的な発想が根底にあることである。 〈理〉に優れた人物は道徳性だけでなく、権力及び富も持つことになっているが、20世紀以降〈理〉をお金で買おうとするものが登場し、〈理〉が〈利〉(貨幣)に置き換えられるようになった。道徳性ではなく、お金持ちが偉いということになったのである。 それではお金のない人は〈理〉がない敗残者ということになるのか?そうではなく、ちゃんと結婚して子どもさえ持てば、家(チプ)の長としての主(ニム)の立場を確保されている。それでは三放世代はどうなるのか? 本書を読むと明らかに「パラサイト」は様式美と言っていいほど、この図式を表していることがわかる。他にも随所にそういうことだったのか、と勝手に納得できるポイントがあり、面白い。 なお、本書はほぼ1頁に1項という変わった目次立てになっているが、最後の一文でヴィトゲンシュタインを意識していたことがわかる。
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世間に受け入れられている韓国についての一面的なイメージを批判し、儒教的伝統に基づく「理」と「気」の二元論によって、韓国と韓国人のさまざまな側面を説明した本です。 儒教は古臭い形式主義というイメージがありますが、著者はこうした理解が誤りだと論じています。儒教は、何よりも道徳を志向...
世間に受け入れられている韓国についての一面的なイメージを批判し、儒教的伝統に基づく「理」と「気」の二元論によって、韓国と韓国人のさまざまな側面を説明した本です。 儒教は古臭い形式主義というイメージがありますが、著者はこうした理解が誤りだと論じています。儒教は、何よりも道徳を志向する若々しい思想であり、韓国人はみずからに「理」があるということを公に訴えようとします。一方で、こうした「理」の世界の外に、情緒的な「気」の世界が広がっており、この2つのフェーズを理解しなければ、韓国人のメンタリティをつかむことができないと論じています。 さらに、こうした「理気二元論」に基づいて、韓国の歴史や日韓関係、さらに現在進行中のメンタリティの変化にも触れています。 「理気二元論」という本質主義的な枠組みに基づく天下り式の説明ではないかという疑問も感じましたが、韓国についての冷静な分析が展開されている本だと思います。
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[ 内容 ] 理の顔と感情の顔、その乖離は何に由来するのか。 心性から社会のメカニズムまで、独自の「統一理論」で隣国・韓国の正体を読み解く。 [ 目次 ] 0 韓国・道徳志向的な国 1 上昇への切望―「理」志向性のしくみ 2 「理」と「気」の生活空間 3 「理」と「気」の文化体...
[ 内容 ] 理の顔と感情の顔、その乖離は何に由来するのか。 心性から社会のメカニズムまで、独自の「統一理論」で隣国・韓国の正体を読み解く。 [ 目次 ] 0 韓国・道徳志向的な国 1 上昇への切望―「理」志向性のしくみ 2 「理」と「気」の生活空間 3 「理」と「気」の文化体系 4 「理」と「気」の社会構造 5 「理気」の経済・政治・歴史 6 「理気」と世界・日本 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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