夏期休暇 の商品レビュー
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切ない。 早い段階で気付くけど、最後に説明もある。長野作品で説明があるって珍しい。 千波矢は父と二人暮らしだが、岬の家に出る兄の事が気になっている。岬の家に新しい住人が来た今兄はもう姿を見せないかもしれない。 兄の青(あおい)は千波矢の落とした帽子を取りに海に降り帰ってこなかった。 帽子を新しい住人の葵に渡し「約束通り拾ってきたから」「もう来られないからね」 葵は千波矢に帽子を渡すが兄から渡されたかったと投げてしまう。 葵は拾いに海に降り、翌日千波矢が来たときいなかった。 千波矢は兄があの帽子を持ってきてくれると確信していた。 葵も死んだっぽいんですけど!はっきり書かれてはないけど! 千波矢が小さな少年の時に青に会った時も青は帽子を探していて、千波矢はその時にも帽子を飛ばす。 葵の姉桂が青に出会ったときも帽子を探していたた。葵の時には見つかっていた。何か意味があるのかな。 千波矢の記憶の知らない大人が沢山居たのは青の捜索時で、千波矢には兄の姿が見えていた。 10離れていてまだ幼い千波矢に帽子を拾ってきてとわがままを言われ、目が見えないにも関わらず夜の海に拾いに行った。 目が見えないのに拾いに行く?地形に詳しくても海に? 青の目が見えない事に気付かないのは千波矢だけ。 葵は青が葵と千波矢を間違えることから、桂は青の目が虚ろなことから。 千波矢だけが成長がない。 いつまでも青が来てくれるのを待ってるし、自分より年下(っぽい)葵に青からじゃなきゃ嫌ってわがまま言うし。 次に持ってきてくれたら一緒に海に帰るからとか青は一緒に来てくれって言ってないし。 表紙は関係ない絵っぽいんだけど、どういうことだろう?
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消えてゆく兄とそれを追いかける弟。『カンパネルラ』になんだか似ている。 千波矢とその父が岬の家に住まなくなったのは、青の思い出から立ち直る為?でも、もしそうだったら、近くに引っ越したりはしないよね。そもそも青は実在していたのかどうか。していた場合は上記のように不自然な部分がでてくる。していなかった場合は、なぜ千波矢は彼を兄だと認識しているのか。もともと岬の家にいる幽霊みたいな存在だと仮定して考えてみても面白いかも。 桂は桜を追う事をやめたけど、それは青を追い続ける千波矢との対比なんだよね、多分。 犬の方の千波矢が生きていたのは、葵が助けたから? 考えれば考えるほど色々な想像ができて楽しい。
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海に行きたくなった。本当に言葉がひとことひとこと素敵。悲しさと切なさはある条件下では美しさと同義なんだなということを思ったりした。
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何度も何度も最後の方を読み返して、 他の方のレビューも読んでうなずきました。 後味が悪い!! 読み返すたびに、他の終わり方はなかったのかと模索するのですが、その度にこの終わり方しかなかったんだなあと思います。 最後の終わり方の意味については、人それぞれこうなんじゃないかという考えがあると思います。そうやっていろいろと考えさせられるのは、この本の魅力ですね。 「きっと、兄はあの帽子を持ってきてくれる。千波矢は確信していた」 最後の文です。 この考え方が正解かどうか自信はないですし、正解なんてないと思いますが、私は葵は千波矢の兄青と同じ道を辿ったと思います。 同じ名前、似ている姿、目が見えないことや泳げないといったハンデ、葵と青は対称の人物として描かれています。葵の姉桂もそうですが、千波矢も一度葵のことを青と見間違えている事があり、その類似は強調されて描かれていたように思えます。 葵は青から帽子を受け取ったとき、その役目も受け取ったのではないでしょうか。 葵から青が「もう来られない」と言っていたことを聞いた千波矢が、帽子を持ってきてくれることを「確信」していたのは、願望ではなく確定された未来があることを匂わせているように読めます。 青の役割を受け継いだ葵が、千波矢の元に兄として来ることが予想されるのです。 姉たちのようになりたがっていた葵。千波矢に出会ってからは、それを止めます。同じく桂も姉の桜のようになりたがっていましたが、話の途中で髪を切り、千波矢に似せたがるようになりました。なぜ千波矢になりたがったのか。それは葵に自分を意識してもらいたかったからではないでしょうか。あのキスが恋愛の意味まで含んでいるのかはわかりませんが、部屋が余っていたにも関わらず、ずっと一緒にしていたことや、ちょっかいを何度となく出していたことから、桂は葵に構ってもらいたがっていたことがわかります。今までは、姉たちの後ろを歩いていた葵が千波矢に出会ってからは、彼に意識を移すようになった。桂は千波矢のようになることで、葵の意識を自分に再び移せるのではないかと考えたんじゃないかなと思いました。 一見、髪を切ったことで桜から自立したように見えた桂。しかし、実際はまた違う誰かの真似をすることで、人に意識を引きつけようとした。これは葵にも言えるのではないでしょうか。 すごく長くなりました。寝る前に本を読んで、居ても立ってもいられず、レビューを見たり考察したりしてしましました。正直今すごく眠いです…。尻切れトンボですが、もう寝ます。まだ頭の中でもんもんとしていることがたくさんとあるので、忘れない内にまた書き連ねたいです。
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「うん、嘘だよ。ぼく兄さんのことを好きだもの。」 少年万華鏡と銘打った4部作(?)の最後の作品。 惹かれあって、その反動か嫌悪感を同時に滲ませる千波矢と葵。 葵の姉、千波矢の不思議な兄の存在が透明感をブルーの透明感を帯びて描かれる。 是非是非☆
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千波矢と葵の二人のお互いに対するコンプレックスと思慕のようなものや、青と千波矢の過去と千波矢の青に対する執着心というか何とも言えない心情はすごくよかったんですが、如何せん結末が後味が悪い。 ハッピーエンドが好きなのでこういう結末はあまり好きではなかったです。葵と千波矢がくっつくとまではいいませんが、このままの関係で物語が終わってしまうのがベストだったかな。 でも、それじゃ話が進まないし終わらないか。
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どうにも縮まらない千波矢と葵の距離がもどかしい。 http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-111.html
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千波矢が幼い頃住んでいた筈の岬の洋館。 そこで夕暮れ時の一瞬しか会えない兄 薄れゆく兄の姿に焦りを感じ始めていた夏 そこに別の家族が越してくる 強気な姉二人を持つ大人しく繊細な葵 兄と唯一会える庭を奪われた千波矢 自分だけのものを守ろうとする思い それを侵されることへの怒り ...
千波矢が幼い頃住んでいた筈の岬の洋館。 そこで夕暮れ時の一瞬しか会えない兄 薄れゆく兄の姿に焦りを感じ始めていた夏 そこに別の家族が越してくる 強気な姉二人を持つ大人しく繊細な葵 兄と唯一会える庭を奪われた千波矢 自分だけのものを守ろうとする思い それを侵されることへの怒り 自分に向けられた怒りへの戸惑い 青い空と流れる雲 青い海と砕ける波 ゆく手を遮る岩と崖 曲がりくねった小道と茨 少年期の象徴と言ってもおかしくない。 これは連鎖なのか? 儚くて切なくて危うくて、 そしてラストでの衝撃・・・ これは切な過ぎる(/□≦、)
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あの日、海に消えた帽子を、約束どおりもってきたよ…。表題作をはじめ、「詩篇カレイドスカフ 4」を併録。単行本化されなかった幻の初期作品が甦る、デビュー10周年企画第4弾。
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