山びとの動物誌 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
里山、それも近畿の里山の動物誌である。 派手で物珍しい珍獣は登場しない。ウサギ、タヌキ、イノシシ、カニ、キジ、ウナギ、クマ…しかし、宇江さんの目を通してそれら動物たちを見、宇江さんの口(筆)を通して語ると、なんとも魅力的に思えてくるのである。 21世紀も20年もたとうとする現在においては、この本に書かれている状況よりも状況は変化している。個体数が増えた動物(鹿)などもいれば、最早見る事も、ほぼかなわない動物(ウナギ)もいる。生態系の破壊は当時以上に、いや当時の想像とはやや違う方向に崩れている。 中には「これはひどい」と顔をしかめる残酷に想える描写も出てくるが、生活に密着して動物たちを駆逐したり食ったり襲われたりしてきた山で生活する人たちの方が、動物たちの現実を見ないふりをしたり、ないことにしている俺たちより、よほど彼らを慈しんでいるんだと思う。 古い本ではあるが、今読んでも面白いし学ぶべきところが非常に多い良書だった。今のところ宇江さんに外れなし
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