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われわれはどんな時代を生きているか の商品レビュー

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2018/10/07

フランス文学の研究者で映画評論家の蓮實重彦と、イスラム史が専門の山内昌之の二人が、1997年から98年にかけてPR誌『本』(講談社)に連載した文章をまとめた本です。巻末には、連載を終えておこなわれた両者の対談が収録されています。 ベンヤミンがピレネー山中で自殺することなく無事に...

フランス文学の研究者で映画評論家の蓮實重彦と、イスラム史が専門の山内昌之の二人が、1997年から98年にかけてPR誌『本』(講談社)に連載した文章をまとめた本です。巻末には、連載を終えておこなわれた両者の対談が収録されています。 ベンヤミンがピレネー山中で自殺することなく無事にアメリカに亡命することができたとしたら、「赤狩り」の時代に有罪判決を受ける唯一の外国人になったのではないかと語る蓮實と、イスラム史の視角から現代のアメリカの文明と政治をするどく照射する山内の議論は、おたがいに相手の提出したテーマを参照しながらそれを巧みに変奏していくことで、20世紀という時代の多様な側面を次々と映し出しているように思えます。 さらに、内藤湖南、新井白石、伊達千広といった日本の歴史家たちの仕事についてもとりあげられ、歴史学がどのようなしかたで現代のアクチュアルな問題とかかわっていくのかという根本的なテーマにかんする興味深い示唆が投げかけられています。

Posted byブクログ