スロー・リバー の商品レビュー

ニコラ・グリフィス(著者),幹遙子(訳者)

サスペンスに満ちた展…

[文庫ＯＦＦ]

サスペンスに満ちた展開で物語が進行していきます。近未来の下水処理技術と主人公の人生が見事に描かれている。最後まで目を離す事の出来ない作品です。

2024/05/23

スロー・リバー

ひさしぶりに読んだＳＦらしいＳＦです。ネビュラ賞受賞。
舞台は近未来。階層分離が進み資本主義わ極められ、ほとんどの水は汚染された状況です。
そんな中で、汚水処理用のバクテリアの特許を所有することによって巨万の富を築いた一族。
その一族の末娘のローアが主人公です。
ローアは誘拐され、陵辱される様子をネットで公開されたため社会からも身代金を払ってくれなかった家族からも身の危険を感じて隠れて暮らさざるを得なくなります。
瀕死の所を救ってくれたスレンダーとの貸し借りから、クレジット詐欺や売春をして借りを返さざるを得ないローア。そんな生活から脱却してアイデンティティを取り戻すために苦心するローア。だんだんと明かされていく家族内の虐待と誘拐の真相。
良く書けていて感心するのは、汚水処理施設の仕組みとそのリアルさです。
でも、レズビアンであってアイデンティティの確立に最も価値を置くローアへの感情移入は竹蔵には無理でした。
でもこの小説がネピュラ賞を取るということで、欧米のSF界の懐の深さを感じる竹蔵でした。

竹蔵

2017/03/28

次作が待ち遠しいと思わせる作
表紙　　　５点小阪　淳
展開　　　７点１９９５年著作
文章　　　７点
内容　７３２点
合計　７５１点

2015/10/25

近未来イギリスを舞台にしたサスペンスミステリー。分類的にはハードＳＦに入りますが世界観の創造はそこそこ程度で焦点があたっているのはバイオを用いた下水処理の方です。セレブ生活を奪われた女性のゼロから始めるサバイバル生活がテーマ。 ３つの時間軸、主人公の現在・幼少期からの誘拐まで・誘拐から逃れた後、をカットバックで構成して進むため、序盤は状況が掴みにくくだるいものの200pあたりから登場人物が増え主人公ローアの背景やスパナーに助けられた後の生活も徐々に見えてきたところから加速し、

2009/10/09

人体埋め込み型IDとか交通システムとかＳＦ的なガジェットはごくわずかに登場するだけで、むしろ近未来社会を舞台にしている人間のドラマである。誘拐をきっかけに犯人からもなぜか家からも逃げ出してきたわけあり娘と、彼女を拾った女ハッカーの間の恋愛感情が切なく描かれる。作品の中に登場する微生物を使った巨大下水浄化システムの描写が圧巻。