嫌な奴 の商品レビュー
木原作品で一番痛いの…
木原作品で一番痛いのはこれだと思いました。愛がなく報われず死が付きまといます。読むのは覚悟がいります。
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木原さんの作品で1か2争うくらい好き。基本的に可哀想な攻めが好きだから、木原さんの作品は刺さるんだと思います。 虚無感が漂う終わり方も好きです。 新装版は所々セリフが変わっていますが、ほんと気にならない程度です。が、オリジナルでの三浦のセリフが『お願い』からほんの若干程度ですが『命令』のように変わっていて…オリジナルの甘えたな感じが凄く好きだったのですが…
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か、悲しい…。胸が痛い。 杉本のことが出会った頃から大好きな三浦とそんな彼のことが大嫌いな杉本の話。どこかで杉本くんが絆されてくれるのかと思いきやそんなことはなく…どこかでおきまりの展開を予想していた私には衝撃でした。 嫌われているとわかっているのにそばにいたいから、好きだからと...
か、悲しい…。胸が痛い。 杉本のことが出会った頃から大好きな三浦とそんな彼のことが大嫌いな杉本の話。どこかで杉本くんが絆されてくれるのかと思いきやそんなことはなく…どこかでおきまりの展開を予想していた私には衝撃でした。 嫌われているとわかっているのにそばにいたいから、好きだからという理由で執着し続ける三浦にはどこか狂気を感じつつ、しかしそれ以上に悲しくなりました。心はいらない。体だけならまだ優しいから…とは言ったものの、やはり好きな相手から露骨に嫌いな態度を取られるというのは辛いもの。三浦は、ずっと心で泣いていますね…。辛い。 最初のページはドアが完全に閉まっているんですが、最後のページでは少しですか開いているんです。これは杉本くんが心を明け渡し始めているのでは…とか勘ぐってしまうんですが。彼らのこれからに期待しつつ。 読了後、タイトルの嫌な奴って杉本のことなのかなとか思ってしまった。確かに普通に考えたらつきまとってくる三浦は迷惑な奴だけど、上っ面の偽善者杉本も、十分に「嫌な奴」ですよ…。
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杉本和也と大嫌いな親友三浦恵一の苦しい苦しい苦しい話。 木原音瀬さんに出会ってから、何冊も木原さんの本を読んできた。痛いことで有名だったけど、BL小説にハマるきっかけだった作家さんだったこともあって、これまで「痛い」本のほとんどは平気で読めてたんだけど....これはすごいです。痛いってもんじゃないぞ。読んでる間中息苦しくて(実際にです!)、読み終わったあとじっとりと汗をかいてるのに気づいた....きついですすごい。私の中痛いNo.1。 えっと、えっと、まず...... 杉本について。杉本を悪く言う人もいるけど、私にはかなり共感できた。 小学生のとき、三浦を怖いと思った感情。消しゴムを盗んだ三浦に諭すけど、いざ自分が...となったときに自分は怒られたくない。なんとかそれを回避して、でも罪悪感からも逃れられる手法はないか...... 中学のときの三浦と小野寺に対する態度も。嫌いだけど怖いから、とにかく自然と、自分が悪者にならない方法で嫌いな奴から離れられる方法をとりたい気持ち。でも、本当に嫌われたくない奴にはいい顔していたい。小野寺の言った優越感も分かりすぎて.....誰からもちょっと遠巻きに見られるような奴に、自分だけ気に入られるのは....自分のプライドが満たされるというか...... 大人になってからも、共感しっぱなし。もう、三浦=嫌い、避けたい、怖いっていう図式が植え付けられてて、本当にそうかなんて自分でも気づかないし、でもそれを変えるには自分で気づかなきゃダメで.......火事のときの冷静な対応と安堵も....もう関わりたくないんだよ、三浦に。正直、途中からは私も三浦が怖かった。 次、三浦について。 可哀想だと思った、でも最後は怖いという気持ちの方が強くて..... 最初は、父親の影響もあって、可哀想に...という当たり前な気持ちだけだったんだけど、中学時代。唯一この本で萌えたのが、この時代の三浦の気づかぬ想い。無邪気で、杉本に好意からの優しさがあると信じて疑わず、それに応えるために全力を尽くす姿。そして、初めての裏切り。このコンボは萌えでしたー。 ただ、川越えしてからはひたすら怖かった。杉本ばっかりが悪いのかよ、お前ももっと方法があっただろう....まぁ、杉本があの状態じゃないのかもですが.... それにしても、2人の間に恋はなかったと思う。 特に三浦。アレも刷り込みで、杉本だけが優しいという。実際、最後三浦も....。逆に、杉本の方が恋...中学時代の優越感はソコに変わっていくのかなと。 途中、杉本が追う側に変わるだろうと予想してたんどけど......これからなりそうな予感! 1番嫌いだったのは小野寺かな。あいつこそ偽善者だろう。どっちにも当たり障りなく、ヘラヘラしやがって! 全体としては、あちゃー、人間くさー!っという感じの.....本で.....笑 杉本なんか、いるだろその辺!って感じ 読後感は最悪 笑 でも、星は5つ。 間違いなく面白いBLだったと思います!!!
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漫画だろうと小説だろうと私の中でこれを超えるBLは現れないだろうな…と思った作品。登場人物から設定、展開までなにもかもがツボすぎる。基本的に一度読んだ小説はよほどでない限り読み返さないのですが、これはもう好きすぎて初見から1年以上経ってるのに未だに現役で読み続けてます。この作品、好きな人は本当に好きだろうけど、嫌な人は本当に嫌だろうなあ。タイトルに偽りなし、嫌な人しか出てこないお話です。 この作者にしては珍しく(というか初めて?)一人称形式で話は進んでいき、受であり主人公でもある和也の心象以外はバッサリ切り落とされてます。それなのに攻の三浦の感情が言動や行動を通して痛いほど伝わってくる。そしてそれと同じくらい和也が三浦を嫌がっているのも伝わってくる。どうあがいても泥沼。たまらないです。 三浦を嫌な奴と言い続ける和也の方が嫌な奴…と感じるように描写されているなとは思ったのですが、和也は言うほど嫌な奴ではないような気もしました。こういう八方美人的な考えって多かれ少なかれ誰にでもあるというか、さすがに「死ねばよかったのに」までいくことはないにしても、ああこいつ嫌だなと思う人と表面上何事もないように付き合うっていうのは社会を渡っていく上での重要なスキルだし、和也にとっての処世術。どんなに嫌いな人でも普通は正面切っておまえのことが嫌いだなんて言えないし、相手が自分のことを好きだとわかっているならなおさら言えないと思う。なので嫌な奴というか、小野寺への陰口も含めて良くも悪くも普通の人という印象。こういう生身に近い人間というか、「生きている人間」を書くのが本当にうまい作家さんだなあと作品を見る度思います。本当にすごい。 三浦が和也に持つ感情が三浦本人も言っている通り、「わからない」。個人的には恋愛感情すら超えているように感じましたが、どのような感情であれ和也に放置された12年でこじらせたんだろうな…と思いました。しかし長年の付き合いの恐ろしさというか、「あいつの性格的にこう言えば断れないはず」みたいな部分を徹底的に利用してくる攻なので、互いのことを知り尽くしている幼馴染、その関係性の恐ろしさを垣間見ました。 話の大筋というか攻と受の関係性は同作者の『FRAGILE』を彷彿とさせますが、『FRAGILE』ほどエグい展開でもない代わりに『FRAGILE』ほど愛もない。周りから見れば到底幸せとは言えないのに当の本人たちは幸せ…という『HOME』のような終わり方でもない。ハッピーでもバッドでもないエンドってBLで初めて見ました。とにかく衝撃的。 新装版が出て欲しいけど、物語の舞台的に難しいのかな。あとがきを見るに続編も難しそうですが、このあとの二人がもう気になって気になって仕方ないです。特に和也、ラストの「傍にいないのに、傍にいる気がする」って三浦が死んだあとにも同じこと思ってそうで胸が痛い。芽生えのようなものはあるので、『FRAGILE』のように攻の三浦が早くそれに気付いてくれますように…と願ってやまないです。
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好きな理由と言うのが分からなくなるくらい固執し執着する片方がいる、と言うのは木原さんの最大の特徴なんだろうなぁ。嫌な奴と思った時点で、実はその人間に対して感情を抱いている、と言う事でもある、と言う事だ。存在を意識しない、と言うのが本当は一番相手を無碍にしていると言うか、他者に対す...
好きな理由と言うのが分からなくなるくらい固執し執着する片方がいる、と言うのは木原さんの最大の特徴なんだろうなぁ。嫌な奴と思った時点で、実はその人間に対して感情を抱いている、と言う事でもある、と言う事だ。存在を意識しない、と言うのが本当は一番相手を無碍にしていると言うか、他者に対する態度で一番酷いのはこっちなんだよな。「嫌い」って言ってるくらいじゃ相手との関係は切れない。きっぱりしない所が「人間臭いなぁ…あがいてるなぁ、恥も外聞もなく」ってとこに惹かれるんですよ、自分と真逆なので。若ければ若いほど「一目」を気にする若さゆえの自尊心が邪魔して出来にくいと思うので、なりふり構わない事が出来ると言うのはある意味、逆に大人なのかな、と。なりふり構わなさの出し加減が解っている(出す相手も特定している)と言う意味で。周囲が見えてないとはまた違う、と…木原さん描く登場人物は「なりふり構わないぞ!」とか決断する瞬間がない、と言うか、境界線を越えるんだ、と言う様な意気込みがなくて、気持ちを寄せる相手に向かってただ進んで行く、と言う感じがする。
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この作品はデビューする前から同人誌で発表されていた続き物だそうで、5年がかりの超大作です。内容もみっちり。 重量感もみっちりなので、読んでて半端なく息苦しくなりました。 最近の木原さんの作品ではあまりお目にかかれない、一人称による話展開。 この一人称がやっかいで、攻の三浦が嫌で嫌で嫌で嫌で嫌でもう仕方がないという和也の気持ちがダイレクトに伝わってきます。 タイトルの嫌な奴ははたして誰なのか。 読めば読むほどドツボにはまりこみ、底なし沼に埋まっていくよう。 出口のない和也の思いと同時に、三浦もきっと出口のない思いにあがていてると知ったのは、物語も最後の最後、2ページ部分で。 それまで徹底的に和也の一人称で通してきた話を、そのラストだけ、三浦視点に切り替えたことで、漸く三浦の考えてることを知ることが出来たんですが、このラストがもう痛すぎてしんどい。 夢も希望もないように思わせるラストの展開のちょっとした部分に、自分の気持ちが変化しはじめている和也を見ることが出来て、そこだけが唯一の救いかもしれません。
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両方とも嫌な奴でした。 自分の中の嫌な部分を見せられているようで、読み返すのが辛い・・・でも読んじゃう。
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人間のもつ汚さだったり、自己愛だったり。 いろいろと胸が痛くなる展開の多い作品ですが、自分にとっては大事な作品。
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(病気療養中の無職×高校教師) 幼馴染 最近気づいたんだが、このストーリーの流れが私の理想の形かも。これか、夏陰。
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