総会屋から見た日本企業 の商品レビュー
総会屋というのは、企業の株主総会を飯の種にしている人々で いわゆる「反社」のカテゴリーである といっても、企業相手にゆすりたかりを働くだけでなく 株主総会を円滑に進める役割を担ってもいる またそれが結果として、社外監査役のような存在にもなっていたんだが いずれにせよ企業と反社の関...
総会屋というのは、企業の株主総会を飯の種にしている人々で いわゆる「反社」のカテゴリーである といっても、企業相手にゆすりたかりを働くだけでなく 株主総会を円滑に進める役割を担ってもいる またそれが結果として、社外監査役のような存在にもなっていたんだが いずれにせよ企業と反社の関係を絶つべしという時代の要請を受けて 法的に排除されていった 97年、大手企業からの利益供与が連続発覚したことで メディアに「総会屋」という言葉が踊った しかし、善良な一般市民にはあまり馴染みのない言葉で マスコミも上手く説明できないまま 結局は企業側へのバッシングに終始する印象であった まあそれはいい じっさい、総会屋対策の費用を私的流用して 豪遊する企業人がいたりしたので しかし報道の曖昧さはタブーを生み出す それで、その手のタブーを得意分野にしている花田紀凱が こういう本を出したりもした 共著者に、百瀬博教がクレジットされている 古い格闘技ファンには「PRIDEの怪人」として知られた人物だ 00年代の初めごろ、アントニオ猪木のブレーンだったらしいんだが 具体的に何をやったのかよくわからない ちなみに猪木詩集「馬鹿になれ」をプロデュースしたのはこの人である 基本的にこの本では、花田が総会屋へのインタビューを務め 百瀬がそれに、やや場違いなコメントを挟むという形となっている 百瀬博教には、石原裕次郎の舎弟だった時期があるらしい その頃を忘れられないのか、戦後のおおらかな時代を懐かしむ一方 アプレゲール的なモラル欠如を現代企業に見ているようである 光クラブ事件みたいな つまり表向きは立派に見せても、裏で汚いことをやっているという まあ一種のステレオタイプなんだけど そういう悪に対抗するものとして 石原兄弟的な全人格主義を、総会屋に当てはめているようだ 株主総会というのは、企業の先行きを話し合う真面目な場所であるが 総会屋たちにとってはハレの舞台である そういう場違いを恐れない在り方が、全人的ということだ 偽善に抗えるのは場違い人間だけであると しかしそれがどんな結果を招いたかといえば 「猪木祭り」の大爆死だ ドン・キホーテのような猪突猛進を見せたが 細かなところは全部おざなりだった 結果、猪木の顔に泥を塗り 百瀬は格闘技業界の表舞台からフェードアウトしたのだ 場違い主義というのは、突き詰めればゴリ押しである 誰も責任をとらないポジティブ思考 その後には、金銭トラブルだけが残った 今や株主総会は、高配当を求める株主たちの顔色を伺う場で 総会屋はモンスタークレーマーにとって変わられた それがまあ時代の流れである
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