蕨野行 の商品レビュー
しみじみとした情感に包まれる 死に逝くものの話であり 生まれ出でるものの話でもある 私たちが生きている この地そのものが 蕨野行になっているのかも 知れない
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口減らしのための姥捨てなどの老人を切り捨てる方法。自然と向き合い、さらにその自然の懐に一生をゆだねると決めた社会の掟は、日本中どこでも見られた光景だったのかもしれない。嫁からお姑よい、と声がけ、姑からは嫁をヌイよい、と呼びかけ語り始める。その語りの中にが、互いを気遣う気持ちが伝...
口減らしのための姥捨てなどの老人を切り捨てる方法。自然と向き合い、さらにその自然の懐に一生をゆだねると決めた社会の掟は、日本中どこでも見られた光景だったのかもしれない。嫁からお姑よい、と声がけ、姑からは嫁をヌイよい、と呼びかけ語り始める。その語りの中にが、互いを気遣う気持ちが伝わってくる。 60歳、死を覚悟の蕨野入り。垢だらけ、髪は抜け、皮と骨だらけ、そんな最期は本当に仏のよう。末期目は見えなくても、老人が老女たちをイチイやエノキなどの木の実に例えて、思い描くシーンに慈しみを思う。老い支度、まさに死への恐怖を死への覚悟と変えてくれる本だと思う。還暦巡って零歳になるように、新たの命へと姑と嫁がつながる。まさに後に伝える昔話のようだった。
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おばばよい、ヌイよい、と独特の方言によるやり取りが繰り返されていくうちに、どんどん物語世界に引き込まれた。悲惨なのに生命力があふれてる。
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2009.09.27. 姥捨ての体をしているけれど、昔の知恵が生きた老人たちの暮らしの在り方だと思う。「楢山節」とは、違うと思う。"お姑(ババ)やい"、"ヌイやい"という、若い嫁と蕨野へ行ったリンとの語りかけで成り立っているというのも、慣れ...
2009.09.27. 姥捨ての体をしているけれど、昔の知恵が生きた老人たちの暮らしの在り方だと思う。「楢山節」とは、違うと思う。"お姑(ババ)やい"、"ヌイやい"という、若い嫁と蕨野へ行ったリンとの語りかけで成り立っているというのも、慣れるまではちょっと往生したけど、読み進むごとに現実味を増していく。森の匂い、人間の生きてる匂いが立ち上ってくるようでした。読み終えた日に、ちょうど映画化されたものをテレビで見て、市原悦子の「ヌイやい」との語りが、とてもしっくりきてた。また読みたい。
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〜「さらばよ」と、おれも手をあげたなり。おれだちは昔、田植えの帰り道に手を振り合うたときのよに、いつまでも歩きながら振り返った。トセは林の道へしだいに消えて行った。〜 『Dr.HOUSE』でオープニングに大きな川がでてくるが、それを見たときと同じ気持ちになる。
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