変わるニッポンの大学 の商品レビュー
およそ15年前に書かれた本書をどう読むか。記載されている以上に現状の方が進んでいる(悪化している)ことと、当時からそう変わらないこと、まるで今日の答申内容とそっくりなこと、というような状況を頭に浮かべながら読むのも1つの方法だろう。 学びの答申と親和性がある記述 ・「やさしい時...
およそ15年前に書かれた本書をどう読むか。記載されている以上に現状の方が進んでいる(悪化している)ことと、当時からそう変わらないこと、まるで今日の答申内容とそっくりなこと、というような状況を頭に浮かべながら読むのも1つの方法だろう。 学びの答申と親和性がある記述 ・「やさしい時代」だからこそ、新しい厳しさをつくりだすことが、大学教育の課題となってくる。p.20 ・どんな科目をどんな順番で履修すれば、どのような学習成果を獲得できるのか。シラバスをもとに学生たちに分かりやすくアドバイスできる教員はどれだけいるだろう。自分が担当する授業が、提供される膨大な授業群の中でどのような位置を占めているのかを、学生たちにわからせることさえ容易ではない。教員自身が手に負えないほどの複雑な教育環境をつくりだし、過剰な情報を与え、学生たちに選択の自由を押しつけている。p.64 ・日本流「シラバス」の普及が、その厚さ競争へと転化したように、教育の内容よりも形式上の変化をもって教育改革と呼ぶ皮相な改革もないわけではない。p.193 ご覧のように、以上はまるで部会上でのコメントのようである。政策形成の局面で教育内容そのものに言及した今般の学びの答申は新しい。しかし、本書をはじめとする類書で、随分前からカリキュラムの体系化・構造化、学修時間、シラバス、国際化といった問題点が指摘されていたことは、十分に意識すべきことだろう。
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