ダンスで越えた私の人生 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
自らのための備忘録 『天上の花』『蕁麻の家 三部作』を読んで、萩原葉子をもっと知りたいと思い読んだのが本書『ダンスで越えた私の人生』です。ダンスと出会ったことで、萩原葉子の人生は大きく変わり、明るく充実したものになりました。本書を読んで、まるで我がことのように嬉しく思いました。 『天上の花』も『蕁麻の家 三部作』も、いずれもダンスを始めてから書かれた作品であり、体力と気力があってこそ初めて世に出た作品なのだということが改めてわかりました。 とはいえ本書の筆は荒く、よく言えば流行作家になった表れとも言えるでしょうが、『蕁麻の家』の頃の雛鳥が震えるような筆致は姿を消しています。また、年号がまったくないため、書かれている内容がいつ頃のことなのか極めてわかりにくく、ファンクラブの会報のように感じました。 年齢を重ねるにつれて、萩原葉子は人生の苦しみから解き放たれていくのがよくわかり、安堵しました。しかし、彼女の日々の節制ぶりは極めてストイックです。 私はもう七十歳を二歳過ぎた。不思議なことに毎日、明日へ向かって燃えているのだった。(中略) 食べ物は普通の人の一食分の半分を三日くらいで食べるほどの少量を保ち、むろんお八つやジュース、甘い物等は一切食べない暮らしは、ダンス入門の三十年間、続いている。(p.152-3) 文中に紹介されているダンスをしている写真を見ても、彼女の努力と生き方に感銘は受けるものの、私にはその「美しさ」はわからず、本人の自己満足のように感じてしまうのですが、それはそれでまったく構わないと思いました。とにかく「良かった」と心の中で呟いて、本書を閉じることにします。
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