正義(下) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ものすごくモヤモヤする終わり方だが、被害者である辣腕の勅撰弁護士ヴェニーシャが事実と関係なく法廷で無罪を勝ち取ってきていたことと同様のことが、彼女の殺人犯についても起きたのだと思えば、「ある正義」(A Certain Justiceと「正義」は印象がかなり違うと思う)というタイトルが効いていると言える。 久々のP.D.ジェイムズだったが、昔(別作品を)読んだときは、こんなに先が気になってどんどん読み進めたくなる作家だったっけ? コーディリアものはともかくダルグリッシュものはもっと重苦しかったような記憶があるのだが。
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★4.5 読み応えのある非常に重厚で良質なミステリ。事件そのものより、濃厚な人間ドラマが素晴らしく秀逸。加害者はもちろん、被害者を始め彼らを取り巻く人間関係、些細なことから大きな軋轢まで鋭い観察眼で冷徹に描ききった傑作。今までこの作家の作品を読んだことがなかったとは、何とも惜し...
★4.5 読み応えのある非常に重厚で良質なミステリ。事件そのものより、濃厚な人間ドラマが素晴らしく秀逸。加害者はもちろん、被害者を始め彼らを取り巻く人間関係、些細なことから大きな軋轢まで鋭い観察眼で冷徹に描ききった傑作。今までこの作家の作品を読んだことがなかったとは、何とも惜しい。 ほぼ終盤まで★5だったのだか、あの結末は気持ちを騒つかせるには余りあった。あの数ページが齎した何とも言い難い後味は、単に犯人を逮捕できないと言う事実のみならず、ヴェニーシャの死が、彼女を中心とした数々の諍いを無事に解決させてみんなめでたし、と言わんばかりに思え(作者が問う『正義』とは関係ないけれど…)、恐ろしいと同時に大きな不快感を覚えたから。真犯人の自白とも言える語りを前に、静かに淡々とそれを受け入れる警察官…諦めない意思を示して欲しかったのだが、法の前には無力ということか。
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(上巻より続く) 全体的には、 まったく感情移入する要素がないにもかかわらず、 被害者の娘、オクタヴィアが主人公のラブストーリー、 いやラブサスペンスの 印象が強いのはどうしてだろうか。 彼女が助かったのは喜ぶべきことなのだが、 最後の解決の仕方といい、 なにか理不尽なものを...
(上巻より続く) 全体的には、 まったく感情移入する要素がないにもかかわらず、 被害者の娘、オクタヴィアが主人公のラブストーリー、 いやラブサスペンスの 印象が強いのはどうしてだろうか。 彼女が助かったのは喜ぶべきことなのだが、 最後の解決の仕方といい、 なにか理不尽なものを感じる。
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