転換期の国際政治 の商品レビュー
冷戦時代の国際政治学は、パワー・ポリティクスの展開に着目する「現実主義」がそれなりの成果を収めてきました。しかし、冷戦以降の国際政治を読み解くの多様化によって、従来の現実主義では解明できない問題が、次々に生じてきたとされます。その最大の問題が経済問題であり、社会や文化にかんする問...
冷戦時代の国際政治学は、パワー・ポリティクスの展開に着目する「現実主義」がそれなりの成果を収めてきました。しかし、冷戦以降の国際政治を読み解くの多様化によって、従来の現実主義では解明できない問題が、次々に生じてきたとされます。その最大の問題が経済問題であり、社会や文化にかんする問題も、主権国家の政治・軍事情勢の分析の実によってはもはや把握することはほとんど不可能となってしまっています。 本書は、こうした問題意識に立って、冷戦以降の国際政治を読み解くさまざまな視点を紹介しています。具体的には、南北格差の問題、民族問題、人権問題、国連にかんする問題などがとりあげられています。西欧で生まれた従来の主権国家理論によって、国際政治に関するさまざまな問題に対する最適解を導く「マネジメント」に替わって、非西欧諸国のさまざまな価値観の間の調整を通して最適解を求めていく「ガヴァナンス」の方法が求められているというのが、著者の見解の中心になっています。
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