家永三郎集(第七巻) の商品レビュー
西田幾多郎の最大の批判者であり、近年では中沢新一によっても注目されている哲学者の田辺元の思索を、「戦争と哲学者」という観点から思想史的な光を当てた研究『田辺元の思想史的研究―戦争と哲学者』を収録しています。 「種の論理」を中心とする戦前の田辺の国家論を、西田幾多郎や和辻哲郎、あ...
西田幾多郎の最大の批判者であり、近年では中沢新一によっても注目されている哲学者の田辺元の思索を、「戦争と哲学者」という観点から思想史的な光を当てた研究『田辺元の思想史的研究―戦争と哲学者』を収録しています。 「種の論理」を中心とする戦前の田辺の国家論を、西田幾多郎や和辻哲郎、あるいは政治学者でカント的な理想主義を貫いた南原繁や、独自の良心論を構築した大西祝といった思想家たちと比較して、その特徴を浮き彫りにしています。また、戦後の田辺の政治的発言や、彼の実践哲学とマルクス主義の関係などにかんしても、くわしく検討をおこなっています。 著者は、厳しい時代状況のなかで、田辺が哲学者としての良心をけっして放逐しなかったことに一定の評価をあたえながらも、アカデミズムのなかで思索を紡ぎつづけた田辺の実践哲学の限界を指摘しています。
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