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義民が駆ける の商品レビュー

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10件のお客様レビュー

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「天保一揆」あるいは…

「天保一揆」あるいは「天保義民」という、歴史的事件に基づいた、藤沢周平の小説では、異色の時代小説です。庄内藩の領民が藩主移封(国替え)という幕命に抗い、「一揆」という抵抗運動を展開する。直訴団を編成し、雪の峠を越え、谷を渡り、山道を走り、「義民が駆ける」。江戸を目指す数百人の農民...

「天保一揆」あるいは「天保義民」という、歴史的事件に基づいた、藤沢周平の小説では、異色の時代小説です。庄内藩の領民が藩主移封(国替え)という幕命に抗い、「一揆」という抵抗運動を展開する。直訴団を編成し、雪の峠を越え、谷を渡り、山道を走り、「義民が駆ける」。江戸を目指す数百人の農民の群れ。一旦下された幕命を覆すことは、ほぼ不可能といわれた時代に、農民たちは命を賭けて立ち上がった。「百姓たりといえども二君に仕えず」を大義名分に掲げて。「忠義心」を表看板にしているが、実は「年貢米の取立て」という、生活に直結した

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羽州荘内領民による藩…

羽州荘内領民による藩主国替え阻止騒ぎ(天保一揆、天保義民と称される)を描いた作品。このような事件があったことを知りませんでした。というか、徳川幕府が下した三方領知替えの命令が取り消されたという事実に驚愕しました。老中水野忠邦や荘内藩の藩主・家老らを中心に描いてますが、やはり主役は...

羽州荘内領民による藩主国替え阻止騒ぎ(天保一揆、天保義民と称される)を描いた作品。このような事件があったことを知りませんでした。というか、徳川幕府が下した三方領知替えの命令が取り消されたという事実に驚愕しました。老中水野忠邦や荘内藩の藩主・家老らを中心に描いてますが、やはり主役は農民たちでしょう。彼らが何故一揆を起こしたのかが良く分かったし、荘内藩の駆け引きにもワクワクしたし、最後まで面白かったです。遠山の金さんがちらっと出て来るのは読者サービスでしょうか?(笑)ただ、農民の台詞が東北弁で

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秋田の佐竹氏に対する…

秋田の佐竹氏に対する備えとして、藩祖が家康から庄内を預かる命を受けた酒井氏に、突然起こった国替えの幕命。領主を慕う農民が前代未聞の嘆願を訴えに立ち上がる。実話をもとにした長編。

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2020/07/12
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※このレビューにはネタバレを含みます

「天保一揆」を題材にした歴史小説。 久しぶりの再読は途中2回落涙しながら一気に。 「一揆起こして江戸さ訴えるとなっど、先ず牢屋さ入らえる。下手すっど殺されっがも知ねぞ。あんた方さ、その覚悟はあっがの?(p82)」 「赤川の土堤が見えてきた頃、駕籠の後から走る農民の数は、数百人の黒々とした帯になっていた(p349)」 200年前の荘内“義民”たちが公儀決定を覆した快挙に、今、その知恵と勇気と連帯を見倣わねばと思った。

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2020/02/08
  • ネタバレ

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R2.1.14~2.8 (あらすじ) 江戸幕府から突然命じられた三方国替え。越後長岡への転封を強いられた藩主を守ろうと、庄内藩の百姓たちは越訴のため黙々と江戸を目指す。「誰レ為ニ百姓ニ不レ仕ニ二君一」を旗印に深山に分け入り間道を伝って歩き続ける領民たちの相貌と彼らを衝き動かした情動を精緻に描く傑作歴史長編。 (感想) 再読。 理不尽な三方国替えに対する、庄内藩お歴々の同様と策謀。そして彼らの想定外の百姓の勝手行動。 百姓の行動は、藩にとってプラスに働きつつも、放置することが必ずしも良作とも考えられず、手綱の引き加減に苦労する重臣たちの四苦八苦が面白い。 そして、著者は百姓たちを「義民」とタイトルしながらも、制御が効かないさま、その内面を不気味に描く。 なかなかの良作だが、もう少し読みやすいと嬉しい。

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2018/01/14

いつもの藤沢作品とは違って、百姓全体が主人公。お国訛りがリアリティがあるのと、水野忠邦と周辺、各藩の見えないところでの政治の駆け引きも読みどころ。

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2013/08/24
  • ネタバレ

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天保時代に庄内藩で藩主・酒井家の長岡藩への国替えに反対して立ち上がった百姓たち。義民として有名な物語とのことで、特に主人公はいないものの、仕掛けた老中・水野忠邦を始め、実に多くの人物が登場し、時代そのものが主人公と言う感じ。それだけに名前を理解するのが大変であるが、時代の雰囲気は良く分かる。それが現代の賄賂政治に繋がる話であることは読み終わって思い当たる。正義がない決定は幕府の命令であっても脆いということが、呆気ない結末を通しても感じました。

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2012/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三方国替えという形で突然越後長岡への転封を命じられた庄内藩の藩主・家老・商人・農民が自分の藩・生活を守ろうとする、実際にあった天保義民事件を題材にした小説です。「義民」をタイトルにしていますが、善政をしいているおら達の殿様のために一肌脱ぐ、という単純なストーリーではありません。色々な立場の人間がそれぞれ自分たちの立場・利益を考えて、ある者は自主的にある者は追いつめられて行動していき、それが交錯して大きな流れになっていきます。 用心棒シリーズが予想と違って江戸の話だったので急遽山形旅行の途中で購入して読みました。庄内のことも書かれていて楽しめました。

Posted byブクログ

2010/08/10

荘内藩酒井家の転封を命じた幕府へ領民(百姓)達の声。天保一揆を、荘内出身の作者が荘内人の気風を込めて描いています。

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2009/11/08

候文が多く出てくる、玄人向けの小説である。 しかし、候文の後で概要が述べられているので、何となく理解はできる。 さて、内容である。天保の改革の一環として、三方領地替が模索されたことは周知の事実である。 その国替え騒動を、庄内藩に焦点を当てて、巧みに描き出している。 ...

候文が多く出てくる、玄人向けの小説である。 しかし、候文の後で概要が述べられているので、何となく理解はできる。 さて、内容である。天保の改革の一環として、三方領地替が模索されたことは周知の事実である。 その国替え騒動を、庄内藩に焦点を当てて、巧みに描き出している。 コネと賄賂で簡単に動く政治。それに「簡単には納得しないぞ!」という農民の請願(それは実は自分たちの身を守るためであるのだが)。 権力闘争に、莫大な賄賂で勝ってきた水野忠邦が失脚していく過程と、同時に庄内藩の歓喜の様子はクライマックスにして見物である。 江戸時代、封建社会の末期を巧みに描き出している点で、本書は非常に参考になろう。 2009.11.7読了

Posted byブクログ