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不倫! の商品レビュー

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2009/10/04

「恋はするものではなくて落ちるもの」(記憶不確か)そんなことを書いた女性作家もいましたが、この作品も女性の視点から書いた不倫小説です。 「不倫」というのは面白い題材で、男性作家、女性作家で捉える視点も違いますし、個人にも違いがあります。 川口マーン恵美さんは4冊のノンフィクシ...

「恋はするものではなくて落ちるもの」(記憶不確か)そんなことを書いた女性作家もいましたが、この作品も女性の視点から書いた不倫小説です。 「不倫」というのは面白い題材で、男性作家、女性作家で捉える視点も違いますし、個人にも違いがあります。 川口マーン恵美さんは4冊のノンフィクションを発表した後、初めての小説にチャレンジ。それがこの『不倫』です。 この作家の感性は非常に私の考えに近くって、内容は取り立ててドラマティックではなく、ただ、主人公の女性から不倫相手への手紙だけで、取り巻く家族の心情や、相手の思考を表現しているのは、小説の表現方法としては珍しいです。 なくはないけれど。 「情熱というのは、過渡的で、しかも病的な状態だから、長く保たせてはよくないとあなたはおっしゃるけれど、ただ、それが失われた後に何が残るのかと考えると、とても怖いのです。 ときどき、なぜ強情を張って日常生活を拒否しているのか、自分でもわからなくなることがあります。一緒に暮らしながらも、新鮮さを失わない秘訣がどこかにあるのかもしれません」 「いったいどうすれば、反復の中で自分を見失わず、背負い込んだ義務に押しつぶされず、退屈と惰性の洞窟に迷い込むこともなく暮らせるようになるのでしょう。分からないながらも、心のどこかに、そうなりたいという願望だけは確かに潜んでいる。今はまだ、迷路の中をさまよっているみたいだけれど。 いつの日か、この迷路を抜け出せたらな、情熱の冷めることなど恐れずに、自然にあなたを愛せるようになるのでしょうね。そうしたら、私はあなたのところへ飛んで行きます。そして、もう二度とはなれない」 1年7ヶ月の彼女からの手紙を最後に、2人は8月5日にギリシャで再会を約束します。けれども5日のアテネ行きの飛行機の墜落記事を最後に小説は終わります。 彼女は4日にアテネに入り、彼が日本から5日に入る予定でした。 彼の死を暗喩して。 純愛は、生活感を感じないうちに、出来るだけ強制的に終わったほうが、生涯心に残ると思っています。 だから2人の恋愛も、純愛になるでしょう。 少し羨ましいです。

Posted byブクログ