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プリズンの満月 の商品レビュー

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18件のお客様レビュー

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2014/11/20

戦犯収容所である巣鴨プリズンを一人の刑務官の目を通して描く。証言者のいるうちに綿密な取材をし遺した貴重なドキュメンタリーと言ってもよい。2014.11.20

Posted byブクログ

2017/11/09

巣鴨プリズンが極東軍事裁判によって、 A級戦犯とされた人々の収容所だったという事実や 池袋のサンシャイン60がその跡地であり、 サンシャイン60に隣接する公園の片隅に ひっそりとたたずむ「永久平和を願って」の碑の存在を はたして今、どれだけの人が知っているのでしょうか。 この小...

巣鴨プリズンが極東軍事裁判によって、 A級戦犯とされた人々の収容所だったという事実や 池袋のサンシャイン60がその跡地であり、 サンシャイン60に隣接する公園の片隅に ひっそりとたたずむ「永久平和を願って」の碑の存在を はたして今、どれだけの人が知っているのでしょうか。 この小説の主人公鶴岡は、 A級戦犯を収容した巣鴨プリズンに勤務する刑務官です。 同じ日本人でありながら、 戦犯の日本人を米兵の命令で看守しなければならない苦悩。 戦争の勝ち負けで大きく変わる戦犯の罪。 人が人を裁くのは、何と罪深いことでしょう。 鶴岡の眼をとおして、 戦後の日本の混乱した時代がリアルに描かれていました。 ほとんどが事実に添ったストーリーですから、 小説というよりも、ノンフィクションのような感じで読めました。 実直に勤務をし続けて定年を迎えた鶴岡ですが、 その胸中には深い傷が残っています。 巣鴨プリズンでの話は遠い遠い昔のこと・・・・ でもしっかりと記憶に刻まれたやるせない思いは 鶴岡ばかりでなく、 一人の読者の私にも感じられるものでした。 来年は戦後70年を迎えるといいます。 戦争は起こっても悲劇だし、終っても悲劇しか残らない! プリズンの夜空に浮かんだ満月が見ていた事実や 刑にあった人々の慰霊碑が物語る史実を 忘れることのないようにし、 同じ過ちをおこさないようにしなければならないと思いました。

Posted byブクログ

2013/09/03

今や跡形もないけれど、サンシャインシティにはかつて巣鴨プリズンがあった事を思い出しました。 時代は変わったものです。 かつて、日本は戦争を起こし、連合国軍に敗れた。知ってはいるけれど 完全に過去の物となっていた戦争を思い出しました。 敗戦国として戦争責任を問われた人たちが収監さ...

今や跡形もないけれど、サンシャインシティにはかつて巣鴨プリズンがあった事を思い出しました。 時代は変わったものです。 かつて、日本は戦争を起こし、連合国軍に敗れた。知ってはいるけれど 完全に過去の物となっていた戦争を思い出しました。 敗戦国として戦争責任を問われた人たちが収監されていた場所。今の専門店街や水族館のある高層ビルからは想像がつきません。 また、僕はこの本を祖父から貰い読んだのだけれど、そこには僕の曾祖父が戦犯とした一瞬登場します。  自分の父が登場する小説を読む祖父の気持ちを考えるとなんだか不思議な気分になります。

Posted byブクログ

2010/12/30

太平洋戦争による日本国の敗戦責任は日本人個人にも割り振られた。そんな戦争犯罪者のみを収容するために作られた監獄が巣鴨プリズン。 しかし、それはあまりに監獄らしくない監獄だった。収容者の外泊やアルバイトを許可。時にはバス移動により、集団での野球観戦も催される。そして、戦勝国の気ま...

太平洋戦争による日本国の敗戦責任は日本人個人にも割り振られた。そんな戦争犯罪者のみを収容するために作られた監獄が巣鴨プリズン。 しかし、それはあまりに監獄らしくない監獄だった。収容者の外泊やアルバイトを許可。時にはバス移動により、集団での野球観戦も催される。そして、戦勝国の気まぐれな判断で、理由もなく、減刑されたり、釈放されたり。 そんな無意味で、バカバカしい監獄があったという事実を詳細に記録した小説。 ちなみに巣鴨プリズン跡地は現在の池袋サンシャインビルが建っている。

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2010/08/29

ひとりの元刑務官による巣鴨プリズンの回想。 羆嵐が無茶苦茶良かったので読んでみた吉村昭2冊目。 徹底した調査と取材を元に構成したフィクションというのは羆嵐と同じ。 一見硬質な飾り気のない文体が実はとても読みやすく、逆に主人公に感情移入しやすかった。 羆嵐読んだ時にこの作家好きにな...

ひとりの元刑務官による巣鴨プリズンの回想。 羆嵐が無茶苦茶良かったので読んでみた吉村昭2冊目。 徹底した調査と取材を元に構成したフィクションというのは羆嵐と同じ。 一見硬質な飾り気のない文体が実はとても読みやすく、逆に主人公に感情移入しやすかった。 羆嵐読んだ時にこの作家好きになるかも、と感じたのは間違いじゃなかった。

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2009/10/04

・巣鴨プリズンを含めて40年間刑務官を務めた鶴岡って主人公の半生を描く小説。 ・と、いう体裁を取ってはいるが、実は巣鴨プリズンに関するノンフィクション、と言った方が正しい。鶴岡の回想ですら無い部分も多い。 ・GHQから日本に管理が移った後の巣鴨プリズンが、どんどんグダグダになって...

・巣鴨プリズンを含めて40年間刑務官を務めた鶴岡って主人公の半生を描く小説。 ・と、いう体裁を取ってはいるが、実は巣鴨プリズンに関するノンフィクション、と言った方が正しい。鶴岡の回想ですら無い部分も多い。 ・GHQから日本に管理が移った後の巣鴨プリズンが、どんどんグダグダになっていく様子がとても意外だった。まさか入所者たちが内職をしたり自由に(じゃないけど)故郷に帰ったり外部に就職して酒を飲んで帰ったり、などと言うことが起きていたとは全く知らなかった。 ・「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」が昭和30年にあって、その翌年に講和条約第11条の手続きをして、そして釈放となったと理解していたんだけど、実際は五月雨式に釈放が行われていて最後の釈放者は昭和33年だったということ。世の中には知らないことが多い。 ・上述のような事が起こり得たのは、やっぱり「戦犯」っていう存在のあいまいさ、インチキさ、立脚点の無さ、それに尽きる。そもそも意味の無い裁判の結果であり、そこにすがっていつまでも厳しく拘禁していく事は日本は当然として連合国側だってできなかったと言うことだ。それともう一点、朝鮮戦争から冷戦を迎える時局であり日本の存在が無視できないものになっていたからというのもある。 ・フィリピンからの帰国のくだりは泣けた。 ・吉村昭の書いた本は始めて読んだけど、これはなんだか章立ても無くて回想と現在がメリハリ無くつながった妙な本だったなあ。 ・古本屋で100円にて購入。

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2009/10/04

吉村昭氏の本にはいつも頭が下がる。 こういう視点から歴史を垣間見ること、なぜ今までしなかったんだろう。 うわっつらの歴史からは想像もできない日本史。 私達は大事なことを知らないままで、すべてを知ったつもりになっているのではないか。 多くの人に読んで欲しい作品です。

Posted byブクログ

2009/10/04

巣鴨プリズンという日本人が日本人の戦犯に刑の執行をする場所があった、そういうことを忘れてはならないと思った。

Posted byブクログ