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往生要集 の商品レビュー

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2024/05/23

仏教初学者にとって、わかりやすく解説された往生要集の入門書。源信の記した往生要集が、その後の法然の浄土教、親鸞の浄土真宗の礎となったことが理解できた。 十界、輪廻転生によって生まれた先の世界は十あり、そのうち四つは聖者の世界で、誰でもが行けるものでなく、厳しい修行を積んだ者だけ...

仏教初学者にとって、わかりやすく解説された往生要集の入門書。源信の記した往生要集が、その後の法然の浄土教、親鸞の浄土真宗の礎となったことが理解できた。 十界、輪廻転生によって生まれた先の世界は十あり、そのうち四つは聖者の世界で、誰でもが行けるものでなく、厳しい修行を積んだ者だけに許される世界。 凡夫はその下の六凡へと生まれ変わる。往生要集では、六凡の世界をひとつひとつ極めてリアルに詳細に描いて、われわれ凡夫にあの世の有様を教えてくれる。 そして、輪廻転生によって続く苦しみから逃れる唯一の方法として、ひたすら仏の名を繰り返し唱えること、念仏に専心することを教えている。 それまで、特別の修行を積んだものにしか開かれなかったあの世の安寧を、一般庶民、悪人も含めてあまねく人々に開いたのが、往生要集であった。 往生要集は百六十余部の仏典から九五二の引用文によって構成されている。仏典引用によって揺るがぬ礎のもとに、日本仏教の土台を築いた。 往生要集こそが、日本に広く仏教を浸透させていった力であった。

Posted byブクログ