埋み火 の商品レビュー
数ページ読んだだけでは恋愛の話だとは思わなかったが、この話はどこへ行くのだろう、と、また主人公の語り口がおもしろかったので読み続け、後半からは、大人の恋愛の話だとわかり、俄然おもしろくなった。 初恋の相手は二度離婚していて、自分も一度結婚、離婚を経験している。お互い、いろいろな...
数ページ読んだだけでは恋愛の話だとは思わなかったが、この話はどこへ行くのだろう、と、また主人公の語り口がおもしろかったので読み続け、後半からは、大人の恋愛の話だとわかり、俄然おもしろくなった。 初恋の相手は二度離婚していて、自分も一度結婚、離婚を経験している。お互い、いろいろなことがあり、相手の女性は容姿も衰えてきている。でも。 表現も素晴らしく(訳はいまいちだったけれど)、素敵な本だった。 …… ツルゲーネフの『初恋』が若い読者の共感を呼びそうなきらきらした思春期の恋物語なら、ベロウのこれは黄昏時にさしかかって死の影を意識しはじめた男が告白する埋み火のような「細く長い」情熱を、醒めた文体で描いて、大人の読者に生きてあることのほろ苦さをしみじみと感じさせる、いぶし銀のような会いの物語と言っていいだろう。死とエロスが分ちがたく絡み合った二重奏とでも言おうか。(訳者あとがきより)
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