骨は珊瑚、眼は真珠 の商品レビュー
いつもと変わらない普通の朝だった。七時に自然に目が覚め、三分後には暖かい寝床に未練もなく起きだして、暖房のスイッチを入れた。 感想:http://tomtomcom.blog73.fc2.com/blog-entry-106.html
Posted by
池澤夏樹さんの短編集。「きみのためのバラ」を読んだことでもうちょっと短編が読みたくなったので探して買った。なんというのだろうか、やはり彼の作品は良い。
Posted by
この短編集「骨は珊瑚、目は真珠」も実に巧い。1話読み終わるごとにため息が出るほどに。もう、ある意味神業というか、職人芸です。短編としてのまとめ方もそうですが、文章自体の美しさがずば抜けている。美しさというのは、表現の美しさでもあり、論理の美しさでもあり、構成の美しさでもあり、そ...
この短編集「骨は珊瑚、目は真珠」も実に巧い。1話読み終わるごとにため息が出るほどに。もう、ある意味神業というか、職人芸です。短編としてのまとめ方もそうですが、文章自体の美しさがずば抜けている。美しさというのは、表現の美しさでもあり、論理の美しさでもあり、構成の美しさでもあり、その他もろもろの色々な美しさをひっくるめた意味で。とてもじゃないが、自分にはこんなに美しいものは創造し得ないし、他の人の本を読んでみても、こんな美しさはちょっと見あたらない。圧倒的。 決して、趣向を凝らして巧みに創ってある、という感じではない。創り上げたものが、ただひたすらに美しさを誇っている。池澤夏樹という人からにじみ出てくる文章が、自然と美しさを備えている。そんな感じさえする。それだけに、著者の技巧をムリヤリに押しつけられる感じが全くしない。自然と身体に馴染んでいく。美しさが文字から浮かび上がって、そのまますんなり頭に入り込み、想像の中で広がっていく。 別の短編集「南の島のティオ」もかなり自分の中では好きな部類だったが、ティオは一定の設定があった上での連作物だった。月並みな表現だが、この短編はティオと違って色んな池澤夏樹を楽しめる、と言える。それでも、解説にあるように、根元的な寂しさによって池澤夏樹からにじみ出た文として、規定されている。それが何とも言えない美しさに繋がっていると自分には思えるのだが。 何はともあれ、こんな表現をしうる作家に出逢えたことが、一つの幸運だ。
Posted by
- 1
- 2