全面戦争(下) の商品レビュー

エリック・L.ハリー(著者),棚橋志行(訳者)

2013/03/31

軍事スリラーの中で本作品が特筆されるべき点は、登場人物を出来るだけ人間的に描こうとしている点である。確かに大仕掛けの舞台が動いているので、登場人物へのアプローチの成否については、読者個々の印象に委ねられるが、試みとしては評価したい。
東アジアが不安定になりつつある今日、軍事大国である中国の覇権主義的活動がエスカレートしないともかぎらない。本作品のリアルな戦闘描写が現実のものにならぬことを切に願う。