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華やかな喪服 の商品レビュー

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2020/09/09

本棚から取り出し、再読。 21年前の作品にもかかわらず、少しも古さを感じさせない。寡作ながらも重厚な作品を紡ぎだし、「本格物は楷書である」という著者の、いわば草書の味わいがあるミステリー。 乳飲み子と二人で暮らす女性のマンションに、男が侵入。母子ともに誘拐され、目的地を知らされな...

本棚から取り出し、再読。 21年前の作品にもかかわらず、少しも古さを感じさせない。寡作ながらも重厚な作品を紡ぎだし、「本格物は楷書である」という著者の、いわば草書の味わいがあるミステリー。 乳飲み子と二人で暮らす女性のマンションに、男が侵入。母子ともに誘拐され、目的地を知らされないままドライブに引き回される。 サスペンスフルな導入部に、忽ち引き込まれる。 次に点景として、警察の動向が。 署長、刑事課長、警部補の三人の元に脅迫状が届く。そのひとり警部補が行方不明と。三人は以前に起きた立てこもり事件の関係者であり、人質の女性が犠牲になっていた。女性の兄が、警察の失態を執拗に攻め立てていた。 脅迫状は誰が出したのか? 行方不明の警部補の安否は? 一方、誘拐犯と母子のドライブは、目的地不明のまま続き、ドライブインを泊まり歩く。 母子の運命は? 男は誰なのか? そして、彼の命をかけた仕事とは? 誘拐事件と警察官たちの動きが、どのように繋がるのか? 極限状態の男女の心理がミステリータッチで描かれ、興味はいやがうえにも掻き立てられる。 やがて、事件が終焉し、題名の所以が明らかにされる。

Posted byブクログ