オスマン帝国衰亡史 の商品レビュー
エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』という大著がありますが、これはローマ帝国の東西分裂後、15世紀まで残った東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の滅亡で終わっています。 本書はその後、ビザンツ帝国を滅ぼして古代ローマの後継者を自認したオスマン帝国が滅亡するまでの歴史を描いています。 ...
エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』という大著がありますが、これはローマ帝国の東西分裂後、15世紀まで残った東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の滅亡で終わっています。 本書はその後、ビザンツ帝国を滅ぼして古代ローマの後継者を自認したオスマン帝国が滅亡するまでの歴史を描いています。 ビザンツ帝国は数世紀かけてゆっくりと滅亡していきましたが、皮肉にもとどめを刺し、その遺産を受け継いだオスマン帝国もまた、同じような道を辿ります。 しかし本書のテーマは、オスマン帝国が「いかに滅亡したか?」ではなく、「いかに生き延び続けたか?」です。 様々な外圧や国内問題を抱え、戦争では連戦連敗で長らく「死に体」だった「ヨーロッパの重病人」が、それでも第一次大戦後までしぶとく生き続け、最も苦しめていたロシアとオーストリアの両帝国の方が先に滅亡したのは驚嘆に値します! キーワードは、「シェイヒュルイスラーム(イスラムの長老)」、「ウレマー(イスラム法・神学者)」、「シャリアート(イスラム聖法)」です。 また現代につながる中東の紛争や民族問題などの起源にも言及されており、こんにちの中東和平問題を考えるうえでも参考になるでしょう。 地名については当時の呼称を用いているため、イスタンブールは正式に改称される1930年までは「コンスタンティノープル」と書かれています。 ニン、トン♪
Posted by
- 1