大学病院で母はなぜ死んだか の商品レビュー
手術が成功し、退院の…
手術が成功し、退院のメドまでたっていた患者がなぜ死ななければならなかったのか。そこに大学病院の裏側が隠されている。
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産経新聞記者で「朝生」でも時折見る筆者の母親の闘病記録を描いた内容です。古森貞子、渋谷哲男、スーザン・・まるで小説のような登場人物が現れ、彼らの行動に涙し、怒り、あきれる読者の私がいる。面白くて思わず一気読みした、1995年に発表されたドキュメンタリーですが、大学病院の闇をあぶり...
産経新聞記者で「朝生」でも時折見る筆者の母親の闘病記録を描いた内容です。古森貞子、渋谷哲男、スーザン・・まるで小説のような登場人物が現れ、彼らの行動に涙し、怒り、あきれる読者の私がいる。面白くて思わず一気読みした、1995年に発表されたドキュメンタリーですが、大学病院の闇をあぶりだした渾身のルポにもなっているのはさすがです。 患者の家族に聞かれるまで病状や経過の説明をせず「大丈夫です」を繰り返した渋谷外科部長の現在は狭山中央病院の院長に収まっているようです。 本書で描かれる日本医科大学付属病院には、患者家族と医師がプライベートで話す場所がない、病室が薄汚れている、ICUがない、患者を研究材料のごとく扱う集団回診など他の日本の病院にもありそうな問題が山積みです。そんな環境の悪さに輪をかけたのが、患者家族に寄り添わない渋谷医師の説明不足です。手術後「大丈夫です」を繰り返しながら、急にがんの転移の発見を業務連絡のごとく告知する場面では、筆者同様怒りがこみ上げるが、ここで怒りに任せれば何をされるかわからない「最愛の家族を非常なテロリストに人質をとられた」心境なので、あえて激情を抑え込む。そして、母親の担当医たちの印象を語ったコメントが本質を見抜いていたことがわかります。渋谷先生は「毒にも薬にもならない、何を聞いても、大丈夫しかいわない」、秀嶋先生は「慇懃無礼よ」と一刀両断。さぞかし無念だったろう(巻頭の聡明そうな)母親の写真が涙を誘います。 本書を一読すれば、病院選びの大切さがよくわかります。入院してから後悔しないためにも、これは日本人の必読書です。
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図書館で借りました。 現代。ノンフィクション。 実名と実際の病院の名前をそのまま使っての、レポート。 日本医大。怖い病院だ。 大学病院。 無夜は絶対、そこにはいかない。嫌だ。 そう思わせた本。 医療ミスにしか見えないいくつもの対応。 主人公、つまりは作者の動きの遅さをじれったく思うのは、タイトルでもうこの母が死んでしまうことがわかっているからだ。 息子として、これはよくある行動なのだろうと思う。医者の言葉を信じようとする。ポジティブな言葉であればなおのこと。 それにしても、無責任で非人間的な医者ばかりいるのが大学病院なら、無夜は死病にかかったときは、家でこっそり逝くわ。 結局。日本医大病院はなくなってしまったらしいが、この渋谷医師はどこかでまだ医者をしているはず。 怖いよね。医師免許って、更新しなくていいんだからさ。 間違ってるよ、日本って国は。
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