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この一冊で遠藤周作の内側がのぞけるよん!!
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遠藤周作の家族や友人が、彼の作品と人物像について語った文章や座談会などをまとめた本です。 小説家では、遠藤とおなじ「第三の新人」に分類される小島信夫、安岡章太郎、阿川弘之、庄野潤三らのほか、中村真一郎、黒井千次、北杜夫などが執筆者となっています。遠藤の文学作品のテーマ、とくに『...
遠藤周作の家族や友人が、彼の作品と人物像について語った文章や座談会などをまとめた本です。 小説家では、遠藤とおなじ「第三の新人」に分類される小島信夫、安岡章太郎、阿川弘之、庄野潤三らのほか、中村真一郎、黒井千次、北杜夫などが執筆者となっています。遠藤の文学作品のテーマ、とくに『沈黙』や『深い河』において追求された日本の風土と宗教性にかかわる問題が論じられています。中村真一郎がはっきりと述べていますが、『深い河』はそのあつかっているテーマの深さに反して、文学としては十分な説得力を獲得するにはいたっていないという指摘は、うなづかされるところがあるように感じました。また、遠藤が大きなテーマをあつかっているという点で、亀井勝一郎が「思想オンチ」と評した「第三の新人」の諸作家たちとは異なっているという安岡章太郎の指摘も、重要だと感じます。 そのほか、阿川佐和子らが遠藤のイタズラ好きな性格を示すエピソードをユーモアをまじえて回想しており、おもしろく読みました。
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