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最終講義 の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2023/12/10

著者のエッセイで精神科医としての仕事ぶりも垣間見てはいたが、こちらはより生々しくその様子が伝わる。個々の症例にある回復までの長い道のり、または予後の悪かった患者たち 昨日、たまたま電車で隣に意味不明の独り言を繰り返す男性と乗り合わせた。あれもこうした困難を抱えている人なのだろう...

著者のエッセイで精神科医としての仕事ぶりも垣間見てはいたが、こちらはより生々しくその様子が伝わる。個々の症例にある回復までの長い道のり、または予後の悪かった患者たち 昨日、たまたま電車で隣に意味不明の独り言を繰り返す男性と乗り合わせた。あれもこうした困難を抱えている人なのだろうか。もしそうだとして、中井のような救いの手は差し伸べられているのだろうか

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2024/01/25

・色々なところで名前を聞くからすごい人なんだろうな〜と思って、なんとなく手に取ってみる。という生半可な理由からでも読んだ自分を褒めたい。後半は添付資料(図)なので、実際の文章は半分ほどの100ページくらい。だけど濃い。無駄がない。 ・特に刺さったのは以下の文。 ーー分裂病のど...

・色々なところで名前を聞くからすごい人なんだろうな〜と思って、なんとなく手に取ってみる。という生半可な理由からでも読んだ自分を褒めたい。後半は添付資料(図)なので、実際の文章は半分ほどの100ページくらい。だけど濃い。無駄がない。 ・特に刺さったのは以下の文。 ーー分裂病のどこかに「ふるえるような、いたいたしいほどのやわらかさ」を全く感じない人は治療にたずさわるべきでしょうか、どうでしょうか。実際患者であろうと医者であろうと「心の生ぶ毛がすり切れた人」は本人も不幸ではありますが、周囲の人もそういう人とつき合いたいでしょうか。ーー 読者(受講者)に投げかけてるのはこの部分だけだけど、だからこそ筆者の強いメッセージを感じてしまう。 ・相手のしんどさを理解するだけじゃなくて、第三者にもわかるようにするのがプロなんだと思うけど、そういう意味で中井先生は本当にすごい。分裂病のしんどさが「なんか分かるかも」ってなる。

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2023/08/26

みすず書房 中井久夫 最終講義 1997年に大学で行われた 分裂病(統合失調症)の最終講義。講義というより臨床記録であり、個別研究から得られた治療の一般モデルにも思う。治療経過図や症例比較もあり、素人でも理解できる構成 「病気は、人生の仕切り直しの機会」は名言 著者...

みすず書房 中井久夫 最終講義 1997年に大学で行われた 分裂病(統合失調症)の最終講義。講義というより臨床記録であり、個別研究から得られた治療の一般モデルにも思う。治療経過図や症例比較もあり、素人でも理解できる構成 「病気は、人生の仕切り直しの機会」は名言 著者は「分裂病をマインドコントロールに対する防衛」と考えており 「睡眠、夢、心身症が分裂病から人間を護っている」としているが、現代の主説はどうなのだろうか? 「分裂病の回復は〜山を下りるときに似ている〜病いが始まった時は 患者はすでに山頂にいる。ひとりで下りられない山頂〜四方が断崖の絶頂にいる」

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2023/06/13

2023年5月 少し前まで治らないと思われていた統合失調症(分裂病)について、治ると表明し、治るまでのイメージを示す。 20年前、この本の「最終講義」がなされた頃、大学でわたしの受けた心理学の講義では統合失調症は予後不良であると習った。 あの頃は過渡期だったのだろう。治ると言う人...

2023年5月 少し前まで治らないと思われていた統合失調症(分裂病)について、治ると表明し、治るまでのイメージを示す。 20年前、この本の「最終講義」がなされた頃、大学でわたしの受けた心理学の講義では統合失調症は予後不良であると習った。 あの頃は過渡期だったのだろう。治ると言う人はいるが、治ったという元患者を見たことがない、みたいな。 治るという案外地味な過程を丁寧に語り、治療者にイメージさせる。患者にとっても治療者にとっても光のような本だと思った。

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2023/01/10

https://ameblo.jp/yasuryokei/entry-12778143569.html

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2022/12/13

100分で名著で説明されている本である。本文を番組では朗読しているが、それだけではなく、患者が書いた絵の説明が丁寧であり、さらに患者の状態を説明したグラフが丁寧に解説している。

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2020/09/25

最終講義―分裂病私見 (和書)2009年01月27日 23:11 1998 みすず書房 中井 久夫 分裂病(統合失調症)に対する姿勢がとてもよく現れていました。患者に対する医者としての姿勢などとても明確に書かれていて精神科医を目指す人には参考になると思いました。 患者(統失...

最終講義―分裂病私見 (和書)2009年01月27日 23:11 1998 みすず書房 中井 久夫 分裂病(統合失調症)に対する姿勢がとてもよく現れていました。患者に対する医者としての姿勢などとても明確に書かれていて精神科医を目指す人には参考になると思いました。 患者(統失患者)に対する分析又は批判(吟味)はとても詳細に(繊細に)されていて病気として成立する理論的根拠などに対する根本的批判(吟味)の姿勢が存在しています。そこが読んでいて救いになると感じました。 この本では患者ではない人(所謂健常者)に対する姿勢に触れられていませんでした。 自己同一性の幻想に固執するという分裂病者への指摘などありましたが、非分裂病者はどういった精神的姿勢をしているのだろうか?木村敏のアンテ・フェストゥムを指摘してしましたがそれが病気として成立するためにはどういった囲い込みがされるのだろうかなどが面白いところだろうと思います。 柄谷行人は自己同一性の幻想が失われると深刻な病(統合失調症)になると指摘している。彼は事後の立場に立つことと事前の立場に立つことを同時に指摘している。私は自己同一性の幻想を事後の立場から立って見てしまうことが統失になる理由の一つだろうと感じている。それを事前の立場に立ってみることができればそれは反省的又は自由・倫理という言葉で表すことができる存在になるのではないかと感じました。 木村敏のアンテ・フェストゥムによれば事前の立場に立つことは分裂病(統合失調症)の精神的姿勢と言うことになるけれどそこを分裂病者(病気として囲い込まれた者又は病気として成立する理論的根拠を適用された者)と非分裂病者との違いは何処にあるのかが追求されれば面白いところだろうと思った。分裂病(統失)親和性と言われる姿勢を持った人とそうでない人との違いなど面白い指摘が幾つもありました。 そこら辺をこれから追求してみようと思いました。

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2014/04/04

医療という名の人間との対話だなぁ。 こういった症例を間近で見たことが無いもので何処か遠くの話に聞こえてくることは否定できないが、まぎれもない現実であり、関わる方々全ての苦闘は当方の想像もつかないものであることが良く分かる。 それにしても本棚にあった本書を再び手に取ってみたのですが...

医療という名の人間との対話だなぁ。 こういった症例を間近で見たことが無いもので何処か遠くの話に聞こえてくることは否定できないが、まぎれもない現実であり、関わる方々全ての苦闘は当方の想像もつかないものであることが良く分かる。 それにしても本棚にあった本書を再び手に取ってみたのですが、その昔何をきっかけにしてこの本を手にしたんだろう?しかも新刊で購入している模様。 特別この分野に関心がある訳でもなく、まさに偶然の出会いだったんだろうな、と感慨に耽っております。

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2010/02/23

まったく知識のない私にとって、とても面白く感じた本でした。 父の書斎で発見し母の紹介で読んだ物。父と母に感謝。 (2010.02.22)

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2009/10/04

神戸大学医学部退官時の講義のために準備した文章が元となっている。 94ページまでがその時の文章で、残りは図表と解説になっている。 統合失調症に関する知識の増加を狙って読むというのではあまり期待できない。 知識の増加という意味では、下痢などの身体症状が出るのは回復の兆しだという事を...

神戸大学医学部退官時の講義のために準備した文章が元となっている。 94ページまでがその時の文章で、残りは図表と解説になっている。 統合失調症に関する知識の増加を狙って読むというのではあまり期待できない。 知識の増加という意味では、下痢などの身体症状が出るのは回復の兆しだという事を知る事ができた。 科学が一回性の現象や一つしかないものも扱うという言及は、世間の「理系的知に対する批判」の多くと違い同意できるものだった。斎藤環の著作に「恋はこの私のこの相手に対する現象だから恋愛の科学はありえない」というような事を言っていたが、それなら、「特定の山の雪崩に関する知識は他の山の雪崩に関する知識として使えない」というような事になるのでは、というような事が思いつく。 自らの症状をまとまった言葉で語る事ができるのは、症状を対象化している状態だから、少し症状がおさまってきた状態だというのも同意できる。

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