視点を変える複雑系の思考法 の商品レビュー
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再び複雑系に興味が湧いたので、手に取った。 どうしても決定論的に語りたがることが多いのだが、そんなに世の中簡略化できない。そういう悩みがあって、興味のベクトルが向いた訳だが、本書はライトな感じで良かったように思う。 目次は下記の通り。 序章 複雑系とはなにか? 第1章 線形と非線形 第2章 自己組織化 第3章 フラクタル 第4章 相転移とゆらぎ 第5章 収穫逓減と収穫逓増 第6章 カオス タイトルだけ見ると硬めな印象なのだが、実際はけっこう平易に語っていたり、たとえ話なども出て来ているので、取っ付きやすい。 難しい話として、複雑系は要素還元主義的なことにすると全体感を失うと言っておきながら、フラクタル性を帯びると細かな部分を見ても全体の相似であるとするので、どっちつかずな印象になってしまう点か。 以前に読んだ小説のジェノサイドの新人類はこの複雑性を帯びた事象を普通に把握し、コントロールできるため、既存の人類への脅威になり得ると描写されていたが、初期値のわずかな違いによってアウトプットがまったくことなる複雑系なので、これはあながち間違いではない。 再現性を担保できない複雑系は未だに発展途上(?)というか、あまり議論されているのかもわからないのだが、個人的には制約の多い経済学と複雑系を融合させて、モデリングをしていく事で、新たなパラダイムがいけそうな気がするので、もう少し深く掘ってみたい。
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