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ゾーニングとマスタープラン の商品レビュー

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2012/10/09

 図書館でなにげなく手にとって読み始めたら、アメリカの都市計画制度の法的側面をきちんと分析した大作。 (1)アメリカの最高裁の判事の構成の変化に伴い、土地利用規制が、taking,補償の必要な収用と判断される判決が増えてきた。(p37)  日本でも、災害危険区域ぐらい、おおざ...

 図書館でなにげなく手にとって読み始めたら、アメリカの都市計画制度の法的側面をきちんと分析した大作。 (1)アメリカの最高裁の判事の構成の変化に伴い、土地利用規制が、taking,補償の必要な収用と判断される判決が増えてきた。(p37)  日本でも、災害危険区域ぐらい、おおざっぱな規制となると、補償の議論がでてきそうな感じがする。 (2)マウントローレル訴訟で、低所得者を除外するようなゾーニングに対してこれを否定する判決がでている。(p115)  日本の場合には、人種差別の問題があまり意識されないので、あまり関心を持たれていないが、アメリカでは重要な判決。 (3)p261からは日本の都市計画の違いについて、想定問答形式で答えが書かれている。その違いの結論として、「日本の都市計画が、その歴史に見られるように土地所有権への国家による制限という形で展開してきたのに対し、アメリカでは土地利用計画・規制は、豊かな生活環境を築くために所有権相互の紛争を調整するルールとして積み重ねられてきた」(p296)という分析は正しいと思う。  座右の書としてきちんと読みこなしたい本だと思う。残念ながら絶版だが。  付箋をつけたページ。p36,37,56,78,115,133,163,185,260,263,273,291,296。

Posted byブクログ