民家再生の設計手法 の商品レビュー
古民家って美しい。 いつか住んでみたい建築のひとつだ。 黒光りする柱、重厚な屋根。渋い壁。 土間。最高のユーティリティースペースだ。 そして遺伝子が何かしっくり感じさせる。 でも欠点もある。 建て付けが悪くなって、引き戸が開かなくなっていたり。 すきま風が吹き込んできたり。 風...
古民家って美しい。 いつか住んでみたい建築のひとつだ。 黒光りする柱、重厚な屋根。渋い壁。 土間。最高のユーティリティースペースだ。 そして遺伝子が何かしっくり感じさせる。 でも欠点もある。 建て付けが悪くなって、引き戸が開かなくなっていたり。 すきま風が吹き込んできたり。 風がふくと、薄いガラスがミシミシ音を立てる。 何より土台が腐っている場合もある。 中越地震の時も崩壊したのは古い家だった。 かなり前になるが、近所の木造3階建てのモデルハウスに行ったことがある。 壁に塩化ビニールが張られているだけではない。 集成材の柱、天井、床。全て木目プリントが貼り付けられた偽者だった。 コストダウンだそうだ。 でも不要そうな設備と接着剤の匂いは盛りだくさんだった。やれやれ。 30年後には特大粗大ごみだ。この手の産廃はどこに運ばれていくのだろう。 そして、こんな家が古民家にとって変わられていくのはなぜなんだろう。 自分の心が理解を拒んでいる。 この本は、かなり専門的であるが、 日本の民家の成り立ちや構造、意匠を解説すると同時に 今にも崩れそうな古民家を基礎から手をいれ、 生まれ変わる過程とその手法を知ることが出来る。 「どこの家にもその家の歴史があるはずだ。今の生活といえどもその長い歴史の一通過点である。」 そんな気になる言葉があった。 自分にはそんな歴史の記憶が分断されているように感じるときがある。 でも、古民家に住んでみたいのは回顧主義だけではない。 古い民家がまだまだ持っているポテンシャルを引き出して、 同時に新しい技術を加える。住み手が大事に自ら再生する。 伝統と自然に寄り添った古くて新しい暮し方を試してみたい。
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