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ロストガール の商品レビュー

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2020/04/16
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ロレンス6番目の長編小説。イギリスの田舎町ウッドハウスで大規模な洋服店を営んでいた父親が商才なく没落すると、一人娘アルヴァイナは助産師の資格とピアノ演奏ができることを頼りに、自立して生きることになる。大卒のエリートや中年の医師との婚約を破棄して、結局は旅芸人のイタリア人チッチョと結婚し、中部イタリアの寒村での限界に近い貧農生活することを選択する。ストーリーとしてはアルヴァイナの転落話となるが、人生の岐路での彼女の選択と決断が重要テーマであることは間違いない。醜悪な男たちを退け、謎めいた表情が独特の美を醸し出しているチッチョを選び、ロレンス得意の精緻な自然描写で美を称揚されているイタリアの辺境に落ち着けたことで、初めて平安に至ったアルヴァイナは、世間的には落ちぶれて見えても、美しいものにこだわった行き方を貫いたように思う。物語重視の作品でロレンスの思想が延々と語られる個所は全くなく、翻訳も読みやすいが、出版社の校正係の責任と思われる誤植が散見される。

Posted byブクログ