安政江戸地震 の商品レビュー
安政期の江戸では、大…
安政期の江戸では、大地震が起こりました。その時、人々や幕府はどのように対応したのか。今読んでも興味深い内容でした。
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自然科学的に安政江戸地震を解説した本ではないため注意。文書に記された被害情報と当時の世相や幕府の対応から、幕末におけるこの災害の意味を考える。 安政期の大都市江戸の情報が詳しくてよい。下馬評の由来や江戸の名主など知らないことが知れた。 153ページの「あらゆる危機は複合的な現実...
自然科学的に安政江戸地震を解説した本ではないため注意。文書に記された被害情報と当時の世相や幕府の対応から、幕末におけるこの災害の意味を考える。 安政期の大都市江戸の情報が詳しくてよい。下馬評の由来や江戸の名主など知らないことが知れた。 153ページの「あらゆる危機は複合的な現実である」というフレーズを覚えておきたい。
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以前読んだ本だったが、『青天を衝け』でちょうど安政江戸地震の回だったので、再読。本書は1855年の安政江戸地震を扱っているが、「角度を変えて見た幕府衰亡史であり、さらに権力衰亡の普遍史を読みとることをも眼目としている」(p.11)ものである。「巨大災害は、一国の政治経済、社会生活...
以前読んだ本だったが、『青天を衝け』でちょうど安政江戸地震の回だったので、再読。本書は1855年の安政江戸地震を扱っているが、「角度を変えて見た幕府衰亡史であり、さらに権力衰亡の普遍史を読みとることをも眼目としている」(p.11)ものである。「巨大災害は、一国の政治経済、社会生活、世相風俗に潜在していた諸内因を急激に外化し、顕在させ、加速熟成する」(p.12)のであり、著者はこのような一国の歴史の動向に作用した地震を「歴史地震」とも呼ぶ。安政江戸地震はその「歴史地震」なのである。 第3、4章では江戸中心の官庁街、そして庶民が住む日本橋、深川近辺の被害の様子が、諸先行研究などをもとに詳細に叙述され、第5章では被災後の救援活動が描写される。そして、第6章では当時の世相と合わせてこの大地震の位置付けがあらためてなされている。 本書は阪神淡路大震災後の1997年に刊行されたものであり、阪神淡路大震災が執筆の直接の契機となっているが、2011年の東日本大震災を経てコロナ禍にある現在において益々示唆するところ大なる本である。
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1997年刊。著者は神戸大学文学部教授。◆文学史専攻の著者が、やや畑違いの江戸期の地震を叙述しようとしたきっかけは阪神・淡路大震災。そもそも古文献や絵巻から過去の地震を解読するのは重要である。周期性は勿論、被害状況から推察される地震規模も未来への重要な指標になるからだ。そういう意味で、江戸という当時大都市での直下型地震、安政江戸地震(1855年)を描く本書の刊行は実に意義深い。◆なお、この地震が幕府瓦解の一要因との点を検討する本書。倒幕が薩長の伸長という政治要因だけでないという新規の目線を得させる。
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阪神淡路大震災を期に書かれた新書。 数字的な部分はざっくり読んでしまったけど、大きくうなずいてしまう部分、また、新たな発見もあった。 会津藩財政に関しても少し記述あり。 災害は政治、民衆、文化等、たくさんのことを変えてしまうという事実が具体例で見られてよかった。 学校の日...
阪神淡路大震災を期に書かれた新書。 数字的な部分はざっくり読んでしまったけど、大きくうなずいてしまう部分、また、新たな発見もあった。 会津藩財政に関しても少し記述あり。 災害は政治、民衆、文化等、たくさんのことを変えてしまうという事実が具体例で見られてよかった。 学校の日本史で地震には、政治とは無関係であるかのように、ちょろっとしか触れない事実にさらに疑問を感じるようになった。
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自然現象は人間との利害にからむとき、資源ともなり災害とも位置づけられる。 江戸が発展したことで、天明の噴火や安政の地震は、政権にも影響をあたえる一大事件にかわる。そのうえ記録が残り、その影響の大きさが後世に微細に報じられる。 安政はその元号とうらはらに、外国勢力の接近をうけ...
自然現象は人間との利害にからむとき、資源ともなり災害とも位置づけられる。 江戸が発展したことで、天明の噴火や安政の地震は、政権にも影響をあたえる一大事件にかわる。そのうえ記録が残り、その影響の大きさが後世に微細に報じられる。 安政はその元号とうらはらに、外国勢力の接近をうけて動揺の時代であった。動揺は黒船ばかりでなかった。地震で文字通り、深刻に揺れたのである。
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