女であることの希望 の商品レビュー
ラディカルフェミニズムの批判本としてはとてもおもしろい。 特に、ミスコンの章の論理はスリリングでよい。 女性の権利獲得をフェミニズムの本質として置き、性的な視線で個人を評価するミスコンを批判するのでなく静的な視線で男を評価する権利を女も獲得しようとするのが本来的な姿勢であると看破...
ラディカルフェミニズムの批判本としてはとてもおもしろい。 特に、ミスコンの章の論理はスリリングでよい。 女性の権利獲得をフェミニズムの本質として置き、性的な視線で個人を評価するミスコンを批判するのでなく静的な視線で男を評価する権利を女も獲得しようとするのが本来的な姿勢であると看破する著者の慧眼。 反面、ラディカルフェミニズムを越えてどこに至るの?というビジョンや女であることの希望を具体化するようなフェミニズムのあり方についてはほとんど言及されていない。そこは看板倒れではないか。 一点、ルッキズムを下品とする姿勢には違和感。 美も一つの才能であり同時に努力の賜物なので、他の才能や努力の成果と同様に適切に評価されるべきだ。 商売道具として今後使っていきたい一冊。
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第3章が「美の呪縛」、第4章「身体」にも「美をめぐる苦境」。 「美という評価基準」を巡って構成される女性たちの不平等感は、それがどれほど切実で確からしいものであろうと、どれほど説得力をもつものであろうと、結局は告発不可能なものという他はない」p.142 ただしこれは「セクハ...
第3章が「美の呪縛」、第4章「身体」にも「美をめぐる苦境」。 「美という評価基準」を巡って構成される女性たちの不平等感は、それがどれほど切実で確からしいものであろうと、どれほど説得力をもつものであろうと、結局は告発不可能なものという他はない」p.142 ただしこれは「セクハラとちがって物証がないから」か。
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『フェミニズムの困難』の続編。人間のアイデンティティとして、根幹的たらざるを得なく人々をその中に生きさせているところの、この「男」「女」という性差。この社会的差異を完全に消滅させようという方向付けに対して、ないしその方向付けを進める人々において分有されるある種の鈍感さに対し、社...
『フェミニズムの困難』の続編。人間のアイデンティティとして、根幹的たらざるを得なく人々をその中に生きさせているところの、この「男」「女」という性差。この社会的差異を完全に消滅させようという方向付けに対して、ないしその方向付けを進める人々において分有されるある種の鈍感さに対し、社会的なジェンダー問題を厳しく覚識しつつもなおそのうえでそこを通り抜け、「女であること」の絶望から脱し「女であること」の希望を、探しだそうではないか、という主旨の本である。「個人的なるもの」の領域というのの確保に、この本の論点は集約されている。 2009.1.20-21.
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