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バタイユ の商品レビュー

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2013/06/23

バタイユの思想が、西洋的思考の根底にひそんでいる「私は〈私〉である」という自己同一性の外へと跳躍する冒険的な営為であったということが、分かりやすく解説されている。 人間は、みずからの身体・生理・性などといった動物的・自然的な部分を嫌悪し怖れる。そうした直接的な欲求のままに生きる...

バタイユの思想が、西洋的思考の根底にひそんでいる「私は〈私〉である」という自己同一性の外へと跳躍する冒険的な営為であったということが、分かりやすく解説されている。 人間は、みずからの身体・生理・性などといった動物的・自然的な部分を嫌悪し怖れる。そうした直接的な欲求のままに生きることから距離をとり、自律性を獲得することが「人間」になるということだった。 直接的な欲求のままに生きることをやめた人間は、さまざまな事物を生産行為の対象とすることで、それらを享受することを引き伸ばして、未来にいっそう大きな成果を得るための「企図」をおこなうようになる。 そうして、現在の努力は未来の享受のためであるということが確信されるようになり、世界は直線的な時間構造(chronos)のもとに整理される。また、あらゆる事物は、やがては〈私〉に回収され享受される「対象」の平面の内に位置づけられることになる。こうした世界を貫いているのは、現在の努力から未来の享受までを貫く自己同一的な〈私〉である。 こうした自己同一的な〈私〉の成立によって抑圧された「自然」は、もはや直接的な所与ではなく、恐るべき「呪われた自然」に変貌する。人は「呪われた自然」から眼を背けながらも、それに強く惹きつけられる。この「呪われた自然」は、〈私〉の自己同一性に依拠する従来の西洋思想の中ではけっして見られることがなかった。バタイユの思想は、こうした西洋思想の外部にあるものを見ようとする試みだったといえる。 本書は難解なバタイユの思想を、フロイトなどに言及しつつ分かりやすく解説している。ただ、テーマごとに章分けされているにもかかわらず、論じられている内容は同じことの繰り返しであり、同工異曲という印象を受けてしまう。「現代思想の冒険者たち」シリーズの中では比較的ページ数が多い本書だが、もっと短くならなかったのだろうか。

Posted byブクログ

2009/10/04

これ程僕が個人的に深く興味をもった思想家は後にも先にもバタイユだけでしょう。 人間本来の性質から普遍経済を導き出すエロティシズム論はまったく否定する気もおこらない程に深く頷けます。

Posted byブクログ