銃口(下) の商品レビュー
7ヶ月の独房生活を終…
7ヶ月の独房生活を終え芳子と結婚をする約束直前に軍隊に招集される。そこで出合う、真実に仕えてくれる上官や、野蛮な上官、また、昔助けた朝鮮の男性と、そのときの上官と逃げる場面で出会い、朝鮮の男性の恩を受けた者としての忠実な彼らの救済など、そういった人々を通して、人間の弱さ素晴らしさ...
7ヶ月の独房生活を終え芳子と結婚をする約束直前に軍隊に招集される。そこで出合う、真実に仕えてくれる上官や、野蛮な上官、また、昔助けた朝鮮の男性と、そのときの上官と逃げる場面で出会い、朝鮮の男性の恩を受けた者としての忠実な彼らの救済など、そういった人々を通して、人間の弱さ素晴らしさを感じた。そして、戦争をまじかに感じた。戦争時代の教育、思想を統一しようとした時代の恐さ。もうそんな時代に戻ってはいけないと感じた。戦争を知る為の必読書だと思います。
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戦争は2度とおこして…
戦争は2度とおこしてはいけない。戦時中、まわりに流されず強いやさしさを持ち続けることの偉大を感じた。何度も何度も人間の強さややさしさに涙した。感動。
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僕の理想の生き方だっ…
僕の理想の生き方だった。。。 すごく感動した!!!
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戦争、教育、人間、様…
戦争、教育、人間、様々なことについてを深く考えさせられた。
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上巻に続き下巻を読了。 激動の昭和を生きていく竜太。戦争の足音が近づいてくる最中にもたらされた通知、赤紙。 芳子との結婚も間近なのに出兵せざるを得ない竜太。 <北海道綴方(つづりかた)教育連盟事件>1940年から41年にかけて北海道で起きた思想弾圧事件。 日常生活をありのまま...
上巻に続き下巻を読了。 激動の昭和を生きていく竜太。戦争の足音が近づいてくる最中にもたらされた通知、赤紙。 芳子との結婚も間近なのに出兵せざるを得ない竜太。 <北海道綴方(つづりかた)教育連盟事件>1940年から41年にかけて北海道で起きた思想弾圧事件。 日常生活をありのまま表現させる綴方(作文)教育を実践した教師らが「子どもたちに資本主義の矛盾を自覚させ、階級意識を植え付けた」とされ、治安維持法違反容疑で大量に逮捕された。 上記は引用文だが、この事件でも竜太には大概にして濡れ衣であり、7ヶ月という拘留生活を経て、保護観察下とは言え釈放された後に出兵。 どこまでも同じ日本で起きた出来事とは思い難い話ではあるが、史実は史実。 三浦文学の要素が詰め込めるだげ詰め込んだ作品、そんな風に感じた。事実、この作品が著者最後の長編小説らしい。すべからく納得できます。 “愛”とは、“赦し”とは、“神”とは。 クリスチャンらしい疑問を投げ掛けるあたり、作風はいつも通り。しかし、細やかに人物像や背景を変化させることで、どの作品も別物として読める。何より読みやすいのが有難い。 真面目なテーマながら、ホッコリしてしまうところも織り交ぜて進むストーリーには、惹き込まれる以外の手立てが無い。 稚拙な感想しか出てこない自分自身が情けなくなるぐらいです…。 良い作品に出会えました。 竜太や芳子の様な夫婦が、後の世に大勢現れてくれることを切に願いたい、おっちゃんはそう思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の北森竜太は治安維持法違反容疑で半年以上もだらだら勾留がつづいたあげく、教職の辞職届を出さざるを得なくなって釈放。その大量の教師を逮捕した事件は特高に忖度して新聞にも報道されず、どこに就職しても特高の尾行がつづきスパイ呼ばわりされ居心地が悪くなる。恩師の坂部久哉教師は衰弱の挙句亡くなってしまう。失意の中、招集通知がとどいたときも教職を失ったので幹部扱いからひらの兵隊となり、理不尽な暴行を受けて片耳の聴力も失う。満州で盲腸になり、親しくしてくれた近堂一等兵との別れ、山田曹長との終戦直後にソ連や中国の連中を避けながら決死の逃避行の中で、朝鮮人の抗日派につかまる。その抗日派につかまって殺されるしかないとなった矢先、、、助けてくれたのは旭川で命を助けたたこ部屋から逃げ出した金俊明だった。金俊明もまた決死の努力で日本に戻るすべをつくってあげて、日本に戻ることができる。弟保志は戦死していたが、懐かしい芳子とついに結婚できた、ついには教職に復職できたという、戦前の思想弾圧の不合理を上手に描いた感動作である。
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「銃口」とは結局何だったのか。 古参兵から曹長に向けられた銃口。 集団自決をした男の銃口。 曹長の夢に出てきたもう一人の自分が向けてくる銃口。 帰国後竜太が背後に感じた銃口。 同調圧力が言葉の感覚として近いのだろうか。 個人の何かへの信じ方の問題かもしれない。
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まちなか文庫より。上巻はダラダラ、下巻は一気読みのいつもの三浦マジックにハマる。昭和初期・戦前の社会のしくみ、考え方、思想と、現代の今の状況下を比較して、新しい社会はどのように作られるべきか、そこにどう関与するか、考えさせられる。 2020/5/24読了
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上下巻読了。 三浦綾子だなあ、と思う。主人公が真面目。文章が読みやすい。決して軽いわけではないのだが、とてもイメージしやすい文章である。そして、誠意がある。キリスト教が出てくる。 同じテーマを繰り返し書く人ではあるのだが、それぞれ時代や設定が違い、きちんと取材して書いているので、...
上下巻読了。 三浦綾子だなあ、と思う。主人公が真面目。文章が読みやすい。決して軽いわけではないのだが、とてもイメージしやすい文章である。そして、誠意がある。キリスト教が出てくる。 同じテーマを繰り返し書く人ではあるのだが、それぞれ時代や設定が違い、きちんと取材して書いているので、三浦綾子節とは思いながらも、最後まで一気に読んでしまう。 これは、旭川の質屋の息子が恩師と出会い、小学校教師になるが、時代に翻弄されていくという物語で、大正天皇の死から、昭和天皇の死までの時代、つまり丸ごと昭和史。 三浦綾子も旭川の出身なので、旭川の様子はもちろん、書かれた頃はまだ戦争体験者が多数生きていたから、直接取材によって、戦前戦中のこともかなりリアルに描かれている。 戦争が近づいて、共産主義者やキリスト教徒が弾圧を受けたことは知っていたが、北海道で綴り方(作文)の勉強会を自主的に行っていた教師たちが検挙された「綴り方連盟事件」は知らなかった。酷いとしか言いようがない。 私が幼い頃は教師は日教組に入っていて皆共産主義だ、などと言う人が結構いたが、戦前戦中の弾圧の反動と、皇軍教育の反省から増えたのかもしれない。今はあまり聞かないが。 主人公はノンポリの青年で宮城遥拝も欠かさないし、真珠湾攻撃のニュースを聴いたときは「彼らの後につづくべきだ」と素直に思う。天皇は神ではないとか、政治が間違っているとか考えたりしない。当時の真面目な日本人ならこれが普通で、彼が考えを変え始めるのはかなりの目に合ってからである。だから説得力がある。今見れば、それはおかしいだろうと思うことでも、当時は当たり前だったのだから、読者はちょっとイライラするが、主人公竜太の誠実さもそこから来ているのだ。読者も竜太という人間を信頼できるように書いてある。 いつ芳子と結婚するのかと気を揉みつつ、苦難を乗り越えて、ラスト近くでやっと幸せになれたのは良かった。 三浦綾子は、どんなに悪い奴でも、手酷い罰を与えたりしない。たとえ物語の登場人物であっても。三浦綾子という人もまた誠実で信頼できる人であることを読者も強く感じる。 それにしても、ストーリーテリング、上手いよね。 真面目で、面白くて、感動できて、こういうのを中高生が読めばいいと思う。
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複数巻を平行読破。三浦綾子の最後の長編だったのね。 北海道綴方教育連盟事件に巻き込まれた竜太。わけもわからず退職届を書かされ、見張りがついたまま釈放される。しかし、留置所移送の際にお互い留置中の坂部先生に出会ったことから、気持ちを強くする。その後徴兵で満州に渡り、数々の出会いと...
複数巻を平行読破。三浦綾子の最後の長編だったのね。 北海道綴方教育連盟事件に巻き込まれた竜太。わけもわからず退職届を書かされ、見張りがついたまま釈放される。しかし、留置所移送の際にお互い留置中の坂部先生に出会ったことから、気持ちを強くする。その後徴兵で満州に渡り、数々の出会いと偶然が彼を救っていく…。 戦争で、軍隊の記述だから読みにくいかなーと思っていたが、全くそんなことはなく、流れるように読めていくのが三浦綾子。小難しい記述もなければ、血なまぐさい表記もない。 流石に長編小説の女王だけあって、キャラクター設定及び心の拠り所、考え方というものがしっかりあり、あまり増えはしないが、登場人物が数々出てきても全く混乱しない。その中にあって、意識的にか無意識にか竜太を陥れる楠男の存在が異彩を放つ。 ほんとにね、楠男は戦争でひどい目にあってほしいと思いながら読んでいる人がほとんどだと思う。 さて、本人もあとがきで書いているとおり、満州時代と帰還に関しては、それまでの詳細な情景描写がなかったかのようにぼんやりとなってしまっているのは残念。人間同士のドラマで必死につなぎとめているものの、戦地の焦燥感などというものはほとんど描けていない。 また、終盤には回想とはいえ、同じ記述が繰り返し使われるのもいただけない。 留置からの釈放、戦地での敵襲からの回避、帰国のための混乱、それらに伴う葛藤のあたりは、不自然なほどに省略されているので、ちょっと肩透かしを食らった気もするが、連載小説で読まされている人にはちょうどよかったのかもしれない。
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