死はなぜ進化したか の商品レビュー

ウィリアム・R.クラーク(著者),岡田益吉(訳者)

2018/10/06

死と進化でさらにもう一冊。

遺伝子を守り多様性を獲得するという点で、進化上大変有利
になると思われる「有性生殖」という戦略を取った時点で
生物の体細胞は次の生殖細胞を作るための道具にしか過ぎ
なくなってしまった。生殖細胞を次代に無事船出させれば
体細胞は用済みである。その無用の長物となった体細胞は
放っておいて資源を無駄遣いさせるよりも、分解し有効利用
した方が有利であり、それが生物にあらかじめ埋め込まれた
プログラムなのである。

身も蓋もないが結論から言うとそういうことで、皆死ぬので
ある。むしろ爽快とも言える読後感であった。われわれは
「なぜ死ぬのか」と問うのではなく、「なぜ生きたいと思う
のか」と問わなければならないのかも知れない。