響きと怒り の商品レビュー
白痴の男、自殺する青年、横暴で物欲にまみれた男の目を通して語られる、ド田舎の落ちぶれて行く旧家。息苦しいような懐かしいような田舎の不穏な空気がたまらない。
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「響きと怒り」について考えた時に、聖書のような書物の成立のしかたについて思いをはせることがある。 最終的にある程度、編集された形、整った形になっているようではあるけれども、実際はいろんな物語を集めてきたり、複数の弟子によって語られる物語であったりと、中に様々な声が入っていて混沌...
「響きと怒り」について考えた時に、聖書のような書物の成立のしかたについて思いをはせることがある。 最終的にある程度、編集された形、整った形になっているようではあるけれども、実際はいろんな物語を集めてきたり、複数の弟子によって語られる物語であったりと、中に様々な声が入っていて混沌としている印象を、私は聖書から感じる。聖書というのは例えで、誰が作者と特定できないような、昔の物語とでもいえばいいだろうか。 奇しくも「響き(Sound)」と題にあるが、「響きと怒り」は様々な声が寄せ集まっている様子を、描いているのかなと思うことがあるのである。様々なものが寄せ集まって何かへ転化しようとするエネルギーそのものを読者に見せているのではないかと考えたりする。
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始めに感じられた読みにくさは、圧倒的な心地よさに変わる。 自然な状態では、意識とは常に交錯しているものなのではないか。 とぎれとぎれになりそうな文脈をつなぎとめることが日常の労働なのかもしれない。 それぞれの章ごとに文体が異なり、揺れている。 ベンジーの心象風景を夢想するが、その...
始めに感じられた読みにくさは、圧倒的な心地よさに変わる。 自然な状態では、意識とは常に交錯しているものなのではないか。 とぎれとぎれになりそうな文脈をつなぎとめることが日常の労働なのかもしれない。 それぞれの章ごとに文体が異なり、揺れている。 ベンジーの心象風景を夢想するが、そのようなものは元々存在しないのだ。
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