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さよならダーウィニズム の商品レビュー

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2023/12/15

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Posted byブクログ

2014/11/04

ネオ・ダーウィニズムに批判的な立場を取る著者が、ダーウィニズムの歴史と問題点を取り上げ、さらに著者自身の立場である「構造主義生物学」から進化についての独創的な見方を語った本です。 著者は、種をめぐる生物学の論争を、哲学における普遍論争になぞらえて解説しています。ダーウィン以前の...

ネオ・ダーウィニズムに批判的な立場を取る著者が、ダーウィニズムの歴史と問題点を取り上げ、さらに著者自身の立場である「構造主義生物学」から進化についての独創的な見方を語った本です。 著者は、種をめぐる生物学の論争を、哲学における普遍論争になぞらえて解説しています。ダーウィン以前の生物学や今西錦司は、種の実在性を主張する実在論の立場に相当します。これに対して、遺伝子のレヴェルにおける突然変異によって生じる漸進的な変化しか認めず、種の実在性を否定するネオ・ダーウィニズムは、唯名論の立場とされます。 著者自身は、DNAだけを絶対視するのではなく、それを取り巻く生物のシステム全体の中で、種という安定的な構造が定まるという立場を取ります。そしてこうした立場は、種の実在性を認める立場とも、種の実在性を否定する立場とも異なる、関係論的な立場だと論じられます。 構造主義というのは人文系の諸学における認識に関する理論だと理解できるように思いますが、本書ではもっぱら実在論に対する関係論の立場を意味するものとして使われているようです。ただし著者の『構造主義科学論の冒険』(講談社学術文庫)では、科学的認識の問題にも踏み込んで、構造主義科学論の発想が論じられています。

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