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平安鎌倉史紀行 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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歴史に思いを馳せなが…

歴史に思いを馳せながらぶらりと旅に出てみたい、と思わずにはいられない本。

文庫OFF

2024/08/25

 ようやく読み終わった。  この手の本にでは珍しい位に読むのに時間がかかった。平安時代の「桓武天皇と渡来人」から始まって、鎌倉時代の終わり「鎌倉幕府滅亡」まで、全部で34章、およそ400頁に及ぶ。お盆休みの間、じっくり本を読もうと思いつつ、結果的にこの本しか読めなかったのは大変残...

 ようやく読み終わった。  この手の本にでは珍しい位に読むのに時間がかかった。平安時代の「桓武天皇と渡来人」から始まって、鎌倉時代の終わり「鎌倉幕府滅亡」まで、全部で34章、およそ400頁に及ぶ。お盆休みの間、じっくり本を読もうと思いつつ、結果的にこの本しか読めなかったのは大変残念。  本書は、「古代史紀行」に続く、日本通史の旅の第二弾として刊行された。訪れたところは、北は、奥州平泉から、西は九州は博多地方まで広く、特に京都と鎌倉が中心にはなる。考えれば、この訪問地が当時の日本と考えられていた地域とほぼ一致するのかな。  著者の得意な電車等の乗り物による水平移動と歴史の流れを辿る垂直的な移動との交わったところに紀行文の面白さがあるのだろう。  改めて章立てを見ると、400年も続いた平安時代よりも、150年ほどの鎌倉時代の方が多いことに気づく。あんまり京都の雅はお好みではないのかな。確かに事件と言って取り上げるべきものも少ないか。それと現代に残っているものもあまりないか。京都の歴史は応仁の乱以降と言った高名な学者さんもいるしね。  武士の時代、鎌倉以降になると好みにあるのか筆が進んでいるようにも見える。ただ、逆に土地勘がないのでわかりにくいところもあるだが。  本書が出版されたのが1997年いくらか交通状況は変わっている。「千早城」に出てくるロープウェイは止まったままだし、金剛バスは廃業してしまった。  いつもの間にか、赤字などを理由にいろいろなものがなくなってしまった。しかし、もともと公共は、採算の取れないもので必要不可欠なものを担う役割があったはずだが、いつの間にかそういう議論はなくなり、そのため地方はどんどんと衰弱しつつある。  鉄道などの交通は、国家の根幹だったはずだが、さあ、これからどうなるのだろう。

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2017/04/30

『古代史紀行』に続く、「日本通史の旅」シリイズ第二弾であります。 日本史の流れに沿ひ史跡や歴史上の人物のゆかりの地などを巡る企画で、今回は長岡京遷都から鎌倉幕府の滅亡までを辿ります。即ち『平安鎌倉史紀行』といふ訳。 古代史では歴史と神話の境界線があやふやで、従つて素人も色色と妄...

『古代史紀行』に続く、「日本通史の旅」シリイズ第二弾であります。 日本史の流れに沿ひ史跡や歴史上の人物のゆかりの地などを巡る企画で、今回は長岡京遷都から鎌倉幕府の滅亡までを辿ります。即ち『平安鎌倉史紀行』といふ訳。 古代史では歴史と神話の境界線があやふやで、従つて素人も色色と妄想する愉しみがあつたのですが、平安鎌倉となると文献も揃ひ始め、歴史の形が次第にはつきりとしてきました。宮脇氏も、あまり気の進まぬ事件や好まぬ人物がゐるやうですが、さうも言つてをられず、せつせと現地へ向かひます。 あくまでも歴史の流れ順に訪問する為、同じ場所に何度も足を運びます。一見無駄足のやうに見え、交通費も嵩むのですが、著者は何度も旅行出来て嬉しいと全く意に介さないのが愉快であります。 なるべく鉄道やバスで移動したいと言ひながら、タクシーをやたらと駆使します。史跡巡りにはその方が便利だからですね。運転手から地元ならではの情報も仕入れる事もできます。 日本史を繙くとどうしても京都が中心になりがちなところを(実際京都は何度も行つてゐますが)、少しでも変化を付けやうとする姿勢も読者思ひでよろしい。平泉・鎌倉・熊野・比叡山・水海道・日振島(愛媛県・藤原純友を巡る旅)・黒田庄・福原(神戸)・厳島・木曾宮ノ越・一ノ谷・壇ノ浦・美濃太田・永平寺等等。さすがに蒙古襲来の項では、モンゴルまでは行つてませんが。それにしてもこの蒙古軍といふのは、知れば知る程腹が立つのであります。某国なら千年恨みは忘れないと喚く事間違ひなしですな。 武士が擡頭し、新田義貞軍が北条高時を追ひつめ、鎌倉幕府が滅亡したところで本書は一旦終ります。ああ早く続きを読みたい喃。日本史のおさらひにもなつて、まことに愉快な一冊となのでございます。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-700.html

Posted byブクログ

2016/11/19

鉄道紀行作家、宮脇俊三のライフワークとなった「日本通史の旅」。本書はその2巻目に相当します。 ある時は慈愛に満ち、またある時は冷酷な氏の筆致が冴え渡ります。歴史概説としても、旅行記としても楽しめますし、京都や鎌倉を幾度も訪れては辛抱強く史跡を巡る氏の姿勢には頭が下がります。 ...

鉄道紀行作家、宮脇俊三のライフワークとなった「日本通史の旅」。本書はその2巻目に相当します。 ある時は慈愛に満ち、またある時は冷酷な氏の筆致が冴え渡ります。歴史概説としても、旅行記としても楽しめますし、京都や鎌倉を幾度も訪れては辛抱強く史跡を巡る氏の姿勢には頭が下がります。 鳥辺野や阿弖川など歴史の表舞台に現れない史跡を訪ね、庶民の悲哀を描こうとしているのも印象的。坂上田村麻呂や藤原純友に今なお好意を持つ地元の人々の姿を知ることが出来るのも、旅行記という体裁をとった本書の魅力の一つではないかと思います。

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2011/12/24

歴史的遺構を時代順に追っていく紀行文。平家物語に詳しいのを思いだし、本棚から取り出した。壇之浦の悲劇の舞台を訪れ、安徳陵や平家の墓を巡る文章は傑作だと思う。平家物語本文の引用と静かな観察眼が哀れみをよく引き出している。その後鎌倉時代まで紀行は続くが、平家物語を辿る旅の方が文章に力...

歴史的遺構を時代順に追っていく紀行文。平家物語に詳しいのを思いだし、本棚から取り出した。壇之浦の悲劇の舞台を訪れ、安徳陵や平家の墓を巡る文章は傑作だと思う。平家物語本文の引用と静かな観察眼が哀れみをよく引き出している。その後鎌倉時代まで紀行は続くが、平家物語を辿る旅の方が文章に力がこもっているように感じた。

Posted byブクログ