スポーツの汀 の商品レビュー
サーフィン、クリケット、ラグビー、ゴルフ、ベースボール、フットボール、はては相撲まで。。。様々な「スポーツ」を、クレオール、ポストコロニアリズム、ナショナリズム、身体性等のキーワードから考察する。時間・空間・思想領域を軽妙な筆致に乗せつつ自在に横断するエキサイティングな論考集! ...
サーフィン、クリケット、ラグビー、ゴルフ、ベースボール、フットボール、はては相撲まで。。。様々な「スポーツ」を、クレオール、ポストコロニアリズム、ナショナリズム、身体性等のキーワードから考察する。時間・空間・思想領域を軽妙な筆致に乗せつつ自在に横断するエキサイティングな論考集! なにより著者の感性豊かで詩的な文章から形成される世界に引き込まれるし、合間合間の挿絵がまた見てて楽しい。 「スポーツ」とは、近代性またそれが根底に孕む帝国主義的・国民国家的暴力性とともに、近代的合理性の強固な「鋼鉄の檻」を突き崩し、身体本来の躍動的運動を担保するものでもあるという「二面性」を持った営為なのである。 何と、クリケット、ラグビーなど近代的スポーツの多くは、死傷者がでるような過激で危険な「遊戯」として、民衆的「反抗」に起源を持つという。時を経て、体制側へ馴致されることにより、「ジェントルマン」の「スポーツ」として生まれ変わったのだ!(「反抗」としての「スポーツ」!) スポーツなんて軍隊、学校などの国民国家における諸近代装置の一部分に過ぎない、と端から決め付けていた評者にとって、正に目を開かされる思いがした。今日世界の隅々にまで浸透した「スポーツ」というものを考えるうえで極めて有益な作品である。
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