ユダヤ教の誕生 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
1997年刊。著者は神戸松蔭女子学院大学教授。 表題どおり、ユダヤ教が成立していく過程を、聖書と記録、遺跡などから解読。(おそらく)穏当な解釈と予想される上、聖書などの多様な引用から、私の如き初心者には有り難い内容かなと。 勿論、教義も数々の歴史的事象に影響を受けた結果のよう。 例えば、ユダヤ教に見える土地への執着は、 ① 古代来、農耕民の周辺にいた半農半牧の遊牧民であった人々の土地保有への羨望感と、 ② 幾度となく繰り返された国家の消滅と居住者の奴隷化・強制移住(バビロン捕囚はその一例)による故郷への渇望。これらが結合したものを背景とするという印象も受ける。 教科書的な意味でも要再読かな。
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ユダヤ教の成立は勿論、旧約聖書からの説明が多くなるわけですが、「第2イザヤ」がバビロン捕囚期に預言したことが大きな要因になっているという著者の説明。第2イザヤのことは、イザヤ書の著者問題でいつも引っかかる点でなのですが、自分自身では今では第2イザヤの存在を主張することへ抵抗が余り...
ユダヤ教の成立は勿論、旧約聖書からの説明が多くなるわけですが、「第2イザヤ」がバビロン捕囚期に預言したことが大きな要因になっているという著者の説明。第2イザヤのことは、イザヤ書の著者問題でいつも引っかかる点でなのですが、自分自身では今では第2イザヤの存在を主張することへ抵抗が余りなくなってきたように感じます。正統主義への拘りが自分自身の中でも、無意味だったという人生経験からかもしれません。70年の「マサダの砦」の陥落によるユダヤ滅亡の時点での指導者エレザエルの演説の言葉は初めて接しましたが感動的でした。
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