自我と「力動的基盤」 の商品レビュー
この本でウォシュバーンは、人間の発達が、根源からの離反と根源へのより高次な回帰という螺旋状の道程に従うという見方(力動-弁証法的パラダイム)を提出する。根源からの離反の後に、根源を通してトランスパーソナルな統合の道へと折り返していくのが螺旋状の輪である。これに対してケン・ウィルバ...
この本でウォシュバーンは、人間の発達が、根源からの離反と根源へのより高次な回帰という螺旋状の道程に従うという見方(力動-弁証法的パラダイム)を提出する。根源からの離反の後に、根源を通してトランスパーソナルな統合の道へと折り返していくのが螺旋状の輪である。これに対してケン・ウィルバーは、まっすぐにより高次のレベルに上昇していく「構造-階層的パラダイム」という誤った見方をしているという。 彼によるウィルバーへの批判は参考になるが、一方でよく分からない部分もある。かんたんに言うと、無意識の全体を差すと思われる〈力動的基盤〉という概念がかなり曖昧なのだ。幼児期にそこから旅立つ〈力動的基盤〉と、超越においてそこに回帰する〈力動的基盤〉とが、まったく同じものとして扱われている。本当にそう言えるのかどうかは、前提とすべき問題ではなく、きちんと説明されなければならないと思が、ウォシュバーンはその説明をしていない。とすればこれこそ、ウィルバーに前-超の虚偽として批判されてしまうのではないか。
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