老年の愉しみ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
コブシの花が咲くと、また新しい年になったと思う。と同時に、自分がまた一歳馬齢を加えたことを意識させられ、ともかく、しかし何があれこうやって自分も妻も犬もつつがなく生き延びることができて、この一年間戦争も起こらず平和だったことに、何に対してと言う事は無いけれども感謝の気持ちを表したい気分にひたるのである 老人になったらおりして自分を世間に合わせる必要は無いのだ 才に走らずとも己の瞳で見つめて正しいと信じたことをやり通す、誠実に牛のようにひた押しに押していく人間が、最終的に物事を動かすのだ 藤沢周平の文学は今は失われた日本と言うものへの郷愁を強く呼び起こすところがあって、それが我々の心を揺さぶり、何度でもまたその世界へ誘うことになるのである
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