続・なぜ日本人はかくも幼稚になったのか(続) の商品レビュー

福田和也(著者)

2010/01/09

「なぜ日本人はかくも幼稚になったのか」4作の中の2作目。
4作とも、個人的には、不満についてはおおむね賛同するが、なぜか、に対する答えについては不満を感じる。この不満は、物足りないということだ。こっと簡単なところに答えを求めても良いだろうと。
私が思うのは、子供の頃に経験することの幅が無くなってきていることが様々な問題の背景にあるということだ。年上の子や年下の子と遊ぶことと大人が一見好ましくないと考えることの経験が激減していることが、精神の成長を阻んでいる。年上の子との関係、年下の子との関係、遊びの上手な子との関係、下手な子との関係、悪いことをしたりされたりして友だちと微妙な関係になって立ち直る経験など、子供同士の関係から精神を成長させる機会を大人が奪っている。その代わり、知識だけは身につける。
精神と知識のバランスが崩れているところに年齢相応の言動が求められると、賢く、危うい馬鹿になる。土台がきちんとしていないのだからまともでないのが当然なのだ。