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天狗争乱 の商品レビュー

3.8

16件のお客様レビュー

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2024/08/23

天狗党の話は全く知らなかった。前半登場人物も多く、複雑な情勢でなかなか進まなかったが、京に向かうと決まってからは面白くて地図を見ながら自身が天狗党になって一緒に歩いていくかのような気持ちになった。

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2023/05/17

勝者は讃え、敗者は美しく描く。幕末劇の定番。維新で日本は植民地になることを免れ、先進国の一員となる。開国派と攘夷派がせめぎあい幸運にも成し遂げられた奇跡。その過程で生まれた多くの犠牲。…元治元年、栃木町。悲劇が起きる。焼き払われた家並み。路頭に迷う町民。家族を殺され怒りは心頭に発...

勝者は讃え、敗者は美しく描く。幕末劇の定番。維新で日本は植民地になることを免れ、先進国の一員となる。開国派と攘夷派がせめぎあい幸運にも成し遂げられた奇跡。その過程で生まれた多くの犠牲。…元治元年、栃木町。悲劇が起きる。焼き払われた家並み。路頭に迷う町民。家族を殺され怒りは心頭に発す。天狗党憎し…舞台は水戸へ。門閥派対攘夷派。それぞれの言い分。どちらにも肩入れできない。…敗れた攘夷派と天狗党の合流。京への旅路。様相が変わる。畏敬もされる。…降伏。痛々しい結末。それが綴られるのも歴史。こんな人々もいたのだ。

Posted byブクログ

2021/07/29

德川斉昭(烈公)を崇める水戸の尊王攘夷派「天狗党」が挙兵し筑波山に立て籠もって後、幕府軍の追撃をかわしながら、徳川慶喜公を頼って京に上る百里の道半ばにして、非業の最期を迎えることになったのは何故かを思案、苦悶しながら読んだ吉村昭氏の幕末惨劇篇。安政の大獄、桜田門外事変を経てなお、...

德川斉昭(烈公)を崇める水戸の尊王攘夷派「天狗党」が挙兵し筑波山に立て籠もって後、幕府軍の追撃をかわしながら、徳川慶喜公を頼って京に上る百里の道半ばにして、非業の最期を迎えることになったのは何故かを思案、苦悶しながら読んだ吉村昭氏の幕末惨劇篇。安政の大獄、桜田門外事変を経てなお、尊攘思想を幕政に訴えるも、変転する時代の趨勢を見誤ったとするだけでは、武田耕雲斎ら352人の斬首刑、妻子や一族郎党を根絶やしにされた者の無念を一片なりとも言い表せない。水戸藩門閥派の調略と慶喜の変心が悲劇を招いた、悶絶の歴史。

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2021/07/05

細かいことは覚えていないが、一度だけ著者の講演を聴いたことがある。確か創作についての内容だったと記憶しているが、手元にある『天狗争乱』の単行本に著者のサインを頂いており、1994年に『天狗争乱』が大佛次郎賞を受賞されたので、それを記念してのイベントに参加したのかも知れない。いずれ...

細かいことは覚えていないが、一度だけ著者の講演を聴いたことがある。確か創作についての内容だったと記憶しているが、手元にある『天狗争乱』の単行本に著者のサインを頂いており、1994年に『天狗争乱』が大佛次郎賞を受賞されたので、それを記念してのイベントに参加したのかも知れない。いずれにせよ今回本書を再読したのは、NHK大河ドラマ『青天を衝け』で数回にわたり天狗党が描かれていたからである。水戸藩と言えば徳川斉昭、藤田東湖らに代表される尊王攘夷の大藩である。しかし、尊攘派の改革に反発する門閥派(諸生党)の勢力も根強く、更に尊攘派も穏健派の「鎮派」と過激派の「激派」に分かれていた。もちろん、桜田門外の変や坂下門外の変を起こしたのは激派であり、筑波山で攘夷決行を唱え天狗党として挙兵したのもこの激派である。ドラマでは詳しく描かれなかったが、門閥派と激派との権力闘争は峻烈であり、藩内の闘争激化を心配して藩主徳川慶篤(当時在京)が名代として宍戸藩主徳川頼徳を下向させると、門閥派は改革派寄りの頼徳の水戸入城を拒否して戦闘に及んだうえ、頼徳は天狗党の同類であると幕府に讒言しこれを陥れて切腹させてしまう。帰るべき場所を失った旧頼徳勢と天狗党は合流し、徳川斉昭の七男で名君の誉れ高い一橋慶喜に実情を訴えようと、幕府の討伐軍に追われながら京都への苦難の進軍を開始するのである。しかし、京都を目前にした彼らの前に立ち塞がったのは、彼らが敬愛するその「一橋様」であった。著者の淡々とした文体が、彼らの悲憤を却って読者の胸に訴えかけてやまない。

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2019/05/13

「天狗党は気の毒な人たちだ」という記述をどこかで見かけ、名前ぐらいしか知らなかった天狗党のことが少しだけ気になっていたので、吉村昭の小説が読みたかったので、これを選んでみた。 吉村昭の小説の小説としての面白さは今まで幾度も書いてきたしいつも大好きなのでそれはそれでいいとして、歴...

「天狗党は気の毒な人たちだ」という記述をどこかで見かけ、名前ぐらいしか知らなかった天狗党のことが少しだけ気になっていたので、吉村昭の小説が読みたかったので、これを選んでみた。 吉村昭の小説の小説としての面白さは今まで幾度も書いてきたしいつも大好きなのでそれはそれでいいとして、歴史としての天狗党については、読みながらずっと納得できないでいた。 挙兵の段階で、武力放棄としては脆弱すぎるし、社会運動としては過激すぎる。そもそも落とし所が分からない。 こういうのを「政治集団」ととらえるか「大犯罪者集団」と取られるかは微妙だが、結局大犯罪者集団として扱われてしまった。まるでオウムみたいだ。 慶喜を冷淡だというが、それは仕方がないと思う。割拠して武田耕雲斎だけ表に出るみたいなIRAみたいな活動はできなかったかとか思う。それは歴史をあとから見る者の勝手な言いぐさなのは分かるけど。 「この非道な行為は、幕府が近々のうちに滅亡することを自らしめしたものである」 という大久保一蔵の日記の記述(P531)が最後に残ったことなんだろうな。

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2016/11/20

吉村昭氏の天狗争乱は、桜田門外ノ変の刊行後、まわりの人から次は天狗争乱ですね。と催促されるほど関係の深い内容である。幕末は、3年という年月で価値観が変わっていく時代であることを象徴する出来事でもあった。桜田門外ノ変で井伊直弼を暗殺した水戸浪士の攘夷派の者たちが、粛清されたように、...

吉村昭氏の天狗争乱は、桜田門外ノ変の刊行後、まわりの人から次は天狗争乱ですね。と催促されるほど関係の深い内容である。幕末は、3年という年月で価値観が変わっていく時代であることを象徴する出来事でもあった。桜田門外ノ変で井伊直弼を暗殺した水戸浪士の攘夷派の者たちが、粛清されたように、かつて、時代の象徴であった攘夷派は、水戸藩内部の有力派からも弾圧される立場に追い込められていた。すでに幕府にかつての力はなく、天狗勢が頼りにしていた慶喜までも、同様であり、天狗勢の最後は、最悪の形で幕切れとなったのであった。いつもながら、天狗争乱の中に身を置いて取材しているような緻密な書きっぷりに楽しく読了した。

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2013/11/16

今回2回目の読了。 1回目に読んだ時は、党派の関わりが非常に複雑だったので、地元出身者の自分であっても話の筋を追うだけで精一杯だったが、2回目はだいぶ余裕を持って理解し楽しむことができた。 天狗党の歩んだ道は、巻末にある地図で確認するだけでもよいが、wikiやGoogle map...

今回2回目の読了。 1回目に読んだ時は、党派の関わりが非常に複雑だったので、地元出身者の自分であっても話の筋を追うだけで精一杯だったが、2回目はだいぶ余裕を持って理解し楽しむことができた。 天狗党の歩んだ道は、巻末にある地図で確認するだけでもよいが、wikiやGoogle map等を適宜参照しながら読むと、より面白いと思う。

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2018/08/16

 水戸藩尊攘派による「天狗党の乱」を叙事詩的に描いた長編大作・・・だが、主人公もなく、ひたすら局地的な事実を時系列に追いかけるのみで、小説というより年代記に近く、あまりにも無味乾燥で途中で眠くなり、半分ほどで挫折した。歴史学において当該時期(元治・慶応年間)は、京都を震源とする朝...

 水戸藩尊攘派による「天狗党の乱」を叙事詩的に描いた長編大作・・・だが、主人公もなく、ひたすら局地的な事実を時系列に追いかけるのみで、小説というより年代記に近く、あまりにも無味乾燥で途中で眠くなり、半分ほどで挫折した。歴史学において当該時期(元治・慶応年間)は、京都を震源とする朝廷・幕府・西南雄藩の関係の変容が重視され、「天狗党の乱」はある意味幕長戦争の先駆をなす内戦であったにもかかわらず、水戸藩の没落を招いただけで何ら有益な果実を残さなかったこともあって(維新後の水戸藩の存在の軽さ!)、東日本のローカルな武装蜂起として軽視されており(その暴虐ゆえに民衆から徹底的に忌避されたこともある)、そうしたアカデミズムの潮流への問題提起の意味があろうことはわかる。

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2017/12/17

歴史小説は普段読まないのだがこの本は読んでいて少々疲れた・・・以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file5/naiyou20201.html

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2013/09/01

桜田門外の変から4年。 水戸藩では尊王攘夷派が台頭し、横浜から外国人を打ち払おうと挙兵した。 天狗勢と呼ばれる集団は、水戸で反攘夷派の市川ら門閥はと対立し追放された頼徳軍、武田耕雲斎と合流し、一橋慶喜への望みを抱いて進軍する。 幕末の波に翻弄されながらも志を高く死んだ天狗勢の生...

桜田門外の変から4年。 水戸藩では尊王攘夷派が台頭し、横浜から外国人を打ち払おうと挙兵した。 天狗勢と呼ばれる集団は、水戸で反攘夷派の市川ら門閥はと対立し追放された頼徳軍、武田耕雲斎と合流し、一橋慶喜への望みを抱いて進軍する。 幕末の波に翻弄されながらも志を高く死んだ天狗勢の生き様を描く。

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